ホスト、整形、過食、リストカット…愛を求めて彷徨う女と男の、深い溝。

2018-12-27

『私は子連れおっパブ嬢 3巻』池田ユキオ(著)ワケあり女子白書(小学館)

【あらすじ】

盗りたい。盗りたい盗りたい…。

万引き依存、更衣室荒らしでキャバクラを追い出された、25歳のあかり。

行き場のない彼女が出会ったのは、スカウトマンの黒田だった。

女を売って金を稼ぐ黒田は、あかりにおっパブを紹介する。

我が子を失ったあかり、親に棄てられた黒田。

徐々に心が近づいていく2人だが、黒田を取り巻く女たちの闇は深くなるばかりで…。

 

ホスト、整形、過食、リストカット。

認められたい。愛されたい。

歪み、依存する女たち。

あかりも我が子への衝動を抑えられず、ある行動に…?

大人気シリーズ、第3巻!

(この本の情報 より引用)

 

悪魔のスカウトマン

池田ユキオ:私は子連れおっパブ嬢 3巻(小学館)

『早く新しい女 補填しねーと…』

 

歌舞伎町で電話に出るのは、風俗店に嬢を見繕いあてがうお仕事・通称スカウトマン黒田裕也、28歳。

 

美辞麗句をならべ気の良い人間を演出し、持ち前のルックスで女の子を落としては風俗業に堕としていくという冷酷かつ非道な性格の持ち主

新規の女の子をスカウトしたり、担当した女の子の出勤状況(メンヘラ具合)に応じて寄り添いメンテナンスをしたり…

とマメに立ち回っているものの、その根底には女の子=お金という価値観のみ。

 

どんなに苦しい状況にいる娘に対しても辞めさせることは絶対になく、論点をずらし宥めすかし、なるべく長く長く働かせる。

すべては自分の食い扶持のため。

女の子の幸せは微塵も考えていない。

 

かつて黒田が仕事をさせた女の子・ほのかがラブホテルのビルから飛び降りたらしいとの連絡が入る。

ホストにハマり貢いで借金で首が回らなくなり、担当のホストめがけて落下した。

自殺したと思われたが、死んだのはホストの方でほのかは大怪我をして入院しているらしい。

 

使いものにならなくなったほのかの席が空いた分、新しい女の子を見つけることに焦りを募らせる黒田。

 

窃盗症が治らないあかり

池田ユキオ:私は子連れおっパブ嬢 3巻(小学館)

『つまらないものを盗んで、またひとりぼっち。』

 

今作ヒロインでキャバクラをクビになったのはあかり、25歳

盗癖のある彼女は、勤め先のお店で同僚のロッカーから盗難を繰り返してはトラブルを起こしている。

 

窃盗症(クレプトマニア) は精神障害の一種であり、完治は難しい。

 

金銭や品物そのものを手に入れることが目的ではなく、実行時の興奮状態・達成した時の満足感や高揚感が目的なんだとか。

あかりも不安な顔で盗難を繰り返しては、成功した時の高揚感に包まれている。

 

ほのかの飛び降りを目の当たりにしたあかりは、そのショックから勤務先にとどまらずドラッグストアでも万引きを実行してしまう。

 

ーーそんな時に出会ったのが黒田だった。

 

運命共同体?

池田ユキオ:私は子連れおっパブ嬢 3巻(小学館)

『期待してんの、可愛いし。』

 

ほのかの空きを埋めるべく、黒田が紹介したおっパブ。(1巻2巻と同じお店)

しかしそこでも問題を起こしたあかり。

 

ルックスはいいのに、精神的に不安定なことが起因してかお客さんやお店のキャストとすぐに揉めてしまう様子。

 

店長の連絡を受けて黒田がフォローに向かうと、そこには更衣室に閉じこもったあかりの姿が。

お客さんを大事にしない、仕事を一生懸命にやらない、平気でまわりに迷惑をかける、ここがダメでも他にも店はごまんとあると楽観的に構えるなど、不真面目なあかりに苛立ちを覚える黒田は、

 

『(新しい店に移れば良いと簡単に言うが)トラブルが元で店替えをした場合、悪い噂がついて店のレベルもギャラも下がっていく。』

 

と説明した上で、

 

『あかりが落ちれば俺も落ちる。俺たちは運命共同体なんだよ。』

 

連帯感をアピール。

 

あかりには自らが産んだ子どもがいるものの事情があって一緒には暮らせず、あかりの両親もこの世にはいない。

寂しさを募らせ、人のぬくもりに飢えているあかりの性格を見抜いた上で仕事のために

優しい言葉をかける黒田。

 

黒田も捨てられた子ども

池田ユキオ:私は子連れおっパブ嬢 3巻(小学館)

『どうしようもない事情があったんだろう。』

 

”仕事を頑張ったご褒美に出かける”という約束をした二人。

 

あかりが指定したのは遊園地で、そこには男の子を連れた彼女の姿があった。

困惑する黒田にあかりは、『離婚した旦那に引き取られているけど、ちゃんと私の子だよ』と説明する。

 

奏太を溺愛するあかりに黒田は、自分の下で育てたらいいと言うも、

『自分といたら奏太がダメになるからダメ。』

と強く拒む。

 

あかりの台詞で自分の幼少期を思い出した黒田。

彼は母親に棄てられていた。

 

怒りと悲しみで満たされ、折り合いをつけるのに時間は要しただろうが、大人になった今なら、女たちにもままならない事情があったんだろうと理解する

 

それは黒田が普段関わっている、風俗業に従事する様々な事情をもった女たちから感じ取ったのかも知れない。

 

あかりの生い立ち

池田ユキオ:私は子連れおっパブ嬢 3巻(小学館)

『あたしのことなんて見えてないみたいに。』

 

あかりの本名は圭子。

育児放棄されていた彼女は、身の回りのモノを与えられてこなかった生育環境からやむを得ず盗むことを覚える。

ものごころつく頃には家庭も母親の精神も崩壊していた。

母親にずっと無視されてきたという圭子、彼女が16歳の時に水難事故で死亡し、父親の縁もなく天涯孤独に。

 

高校を辞めて働き始めたキャバクラ、そこで知り合った15歳年上の元旦那と結婚し奏太を妊娠。

生まれて初めて一人じゃないと思えた。

寂しさから繰り返していた万引きがぴたりと止められ、幸せな日々だった。

 

池田ユキオ:私は子連れおっパブ嬢 3巻(小学館)

『旦那は仕事ばかりで帰ってこない。』

 

奏太が生まれても相変わらず忙しい旦那は圭子に育児を任せっきり。

代わりに手伝いに来た義母は圭子を毛嫌いし、奏太を取り上げて世話をした。

幸せは長続きせず、孤独とストレスを抱える圭子の目に留まったブランド物のバッグ。

ぴたりと止められた筈の盗癖の衝動がよみがえり、、

 

カバンの中身を漁ってしまう。

 

実刑は免れたものの、裁判が終わり社会復帰したころには旦那は再婚していた。

そして、

 

もう二度と奏太に会わない

という約束を取り付けさせられた。

 

幸せを自分で壊したという自覚のある圭子。

心の支えだった奏太に会えなくなったとしても、何とかギリギリ生き抜いてきた日々、だけど何かが引き金になってまた同じことを繰り替えしてしまう。

親や元旦那など身勝手な人間に振り回されずっと苦しんできたあかりの事情を知った黒田は…。

 

見えない縁に引き寄せられ

池田ユキオ:私は子連れおっパブ嬢 3巻(小学館)

『とりあえずうちに来いよ、落ちつくまで。』

 

夕飯に食べさせたハンバーガーでアレルギー反応を起こしてしまい、病院に搬送される奏太。

奏太の体のことや既往歴を知らないあかりは、母親なのに…?と病院側に怪しまれ、警察に通報されてしまう。

元旦那とその奥さんも駆けつけ、奏太は父母のもとへ返された。

 

身をひそめるあかりに対し、警察がまだうろついているかも…と心配し、自分の家にかくまい、お金目的で見ていたはずのあかりに徐々に心を開き始める黒田。

あかりの純真な母性が、自分を棄てた母親と重なっているのかも知れない。

 

二人の間に生まれた微かな絆をよそに、黒田を見つめるボロボロの女性の姿。

 

彼女は一体…。

 

ほのかの姿

池田ユキオ:私は子連れおっパブ嬢 3巻(小学館)

『ーーーほのか…』

 

スカウトマンであるはずの黒田、業界慣れしていない女の子に対して過剰に風俗に沈めて病んだところでホスト遊びを覚えさせ(ホストもグルであることが多い)、借金を背負わせて昼の仕事に戻れなくさせるのが彼のやり方だった。

 

この地獄から足抜けできないように…。

 

ところがあかりと出会った影響からか、稼げないものの負担も少ない仕事を紹介するように。

女の子の本来の目的である、奨学金や借金返済の名目からぶれないよう、この地獄にハマり過ぎないように線を引く黒田。

 

かつて仕事を紹介し、借金地獄に堕とした女の子、ほのか。

冒頭でビルから飛び降りたのは彼女。

慣れない仕事に心を病んだところで、仲間であるホストにハマらせ、さらに仕事と借金を負わせ、大学も留年。

 

お金を稼ぐために本番行為に及びお客さんから病気を移され店をクビ。

仕事も紹介してもらえず、金払いの悪くなったほのかは黒田からもホストのトーマからも切り捨てられた。

 

そんな彼女が、見せかけの優しさで自分騙し、食い物にした男たちを恨んでいないはずがなく…。

 

入ってしまうスイッチ

池田ユキオ:私は子連れおっパブ嬢 3巻(小学館)

『ママ…』

 

あの一件以来黒田と過ごしているあかり。

食事を作り家のことをして、黒田とも絆が深まり精神的にも安定していたはずだった。

ところが、ちょうど奏太と同い年くらいの男の子にママと間違われ、

 

衝動の引き金が引かれてしまう。

 

抑えきれなくなったあかりは、、

 

池田ユキオ:私は子連れおっパブ嬢 3巻(小学館)

『あの時と似ているーー』

 

いつまで経っても黒田の部屋にはあかりは帰って来ない。

出勤もしていないし、スマホも繋がらない。

母親に棄てられた時のように、胸騒ぎがする黒田。

 

街に出てあかりを探す黒田が目にしたもの、

 

長続きしない幸せ、

自分が蒔いた不幸の種が芽を出すとき、

 

 

地獄の連鎖の終着とはーーー。

 

【感想】

大好きなシリーズですが、3巻はテーマ的にあまり興味が湧かず、買うか長らく迷っていました、、

ですがやはり池田ユキオ先生ファンなので!笑

 

えいやっと買ってみたらコレも当たり!(*‘ω‘ *)!

展開的には…実はこのお話だけ他の1,2と違ってバッドエンドなんですが、あかりと黒田の交流、あかりの生い立ちや不遇などがよりドラマティックに描かれていて、作品に引き込まれました。

 

今回は欲望に飲まれる女たちという感じで、あかりと黒田の他にも出てくる女の子が二人いたりして、かなり詰め込まれた内容に。

 

もとい見応えある内容とも笑

ダブルキャスト以外に誰に焦点を当てようか迷いましたが、そうするととても長くなってしまいそうだったので諦めました…。

ボリューミーなのにページ数はいつも通りくらいなので、各々の人生の描写に魅せられます。

個人的には黒田の生い立ちをもう少し掘り下げて欲しかったくらい。でも概ね申し分なしだからすごい!

 

最後の方には次のヒロインっぽい子が出ているんですが、まだまだシリーズは続くのでしょうか?

出るとしたら楽しみです!

 

今日もお読みいただきありがとうございました。

先週半ばくらいから体調を崩していて、昨日ようやく全快しました!(`・ω・´)

 

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既刊リンク

池田ユキオ

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