結婚からはじまる奇想天外ラブストーリー 堂々完結!―ラララ10巻
『ラララ 10巻』金田一連十郎(著)ヤングガンガンコミックス(スクウェア・エニックス)
ラララ 10巻:あらすじ
桐島くんは再就職に向けて色々と業種を考えていく中で、
深羽(みう)のお世話をしてもらっている保育士の仕事にいたく感銘を受け…!?
そして、石村さんに話した再就職への思いとは……!?
リストラされた専業主夫と、裸がデフォの美人女医の物語の結末は…!?
奇想天外ラブストーリー堂々完結!
(10巻裏表紙より引用)
ラララ 9巻:おさらい
ついに訪れる、亜衣さんとお母さん(祖母)との別れ。
そして登場する、深羽という存在。
家族の愛が問われる桐島家の決断は…!?
環境に鍛えられて
士郎くん キミは有能だ
この先どこでどんな仕事をしても
人並み以上にこなせるだろうと 私は思う
引用元:ラララ10巻
准の異父兄妹で1歳くらいの、深羽(みう)を迎えた桐島家。
9巻最後に桐島が、
(仕事探さなきゃなぁ)
と言っていたのが現実味を帯びて、10巻では具体的にどういう働き方がいいかを考えていきます。
子供は可愛いけれど24時間休まらない(自分の時間もほぼゼロ)お世話はキツイ…という実母の言葉を受けて意気投合してみたり、子育てが就業観念に影響したのはもちろん…
さてここで もし亜衣さんが予期せぬ病気や事故で一時的にでも働けなくなったら
…もしくは完全に働けなくなったら どうなるでしょう
引用元:ラララ10巻
働きたいという意欲を持ったことを亜衣さんと相談する士郎。
一家の大黒柱である亜衣さんに、”もしも”が起きた場合。
士郎も准も一通りのことはこなせるものの、深羽はまだまだ大事に守っていかなければならない存在。
亜衣さんにもしものことがあった場合、自分が大黒柱に代わること、そして家族を守れること、復職するなら出来る限り早い方がいいと考えた士郎がそんなことを伝えると、家のことを精一杯やってきた士郎ならきっとどんな仕事でも出来るはず、と亜衣さんらしい言葉をかけてくれます。
高収入代表(?)の医師と結婚した士郎は傍から見ればいわゆる勝ち組に分類されそうなんですが、士郎単体で見ると、専業主夫はとってもリスキー
士郎の言うように、もしここで亜衣さんになにか起きた場合、まとまったお金が入ってくるものの、その後ひとり親となって二人の子を育てるにはリスクがありすぎる…という判断はとても賢明!
そして、家のことを四苦八苦しながらこなしてきたことで、確実にスキルアップした様子の士郎。
これは主婦/主夫あるあるかもですが、
- 整理整頓
- 調理
- 備品管理
- 体調管理
などなど、家のこと、家族のことを気にかけて働きまわるうちに身に着けることが出来るスキルなんですよね。
私自身も結婚後に名もなき家事、育児の多さに驚いた身なんですが、それらすべてに目を配って滞りなく手入れをするというのは、思っている以上にかなり大変なことですよね。
全自動の家電が増えたとしても出来ないことはどうしてもあるし、その時その時で何をするべきかっていうのは日によって違うので、亜衣さんが評価するように士郎が出来ているのであれば、かなり仕事は出来ると思って差し支えないように感じました。
ましてや、一戸建てを綺麗に掃除し美味しいご飯を毎日3食(しかも亜衣さんと准のお弁当も作っているかも知れない)ってだけで、彼はめちゃくちゃ凄い!!
いやホントにそう思います。
全方位そこそこな私にとって士郎の家事レベルはかなり高いと感じます笑
保育士さん=未来を育てるアベンジャーズ
薄々気付いていたけども
こんなに重要な仕事はなかなかない
保育園のおかげで多くの親達が安心して働けている……
多くの子供達が安心して遊んでいる……
保育士さんのおかげで世界が回っているといっても過言ではない
引用元:ラララ10巻
仕事をするには子を預ける必要がある
預けたいなら仕事をしていることが条件
保育園のパラドックスに陥った士郎でしたが、無事に深羽を預けることができました。
2時間の慣らし保育から始まり、徐々に時間を延ばし、翌月には一日保育(朝から夕方まで)。
出来た時間でその日のうちに片付けたかった家事をこなし、心置きなくセックスをし、溜まったガスを抜きまくる士郎笑
久し振りの自由を手に入れた士郎は保育園の偉大さに感動し、詩をしたためる始末…
『とまあ うっかり保育士目指そうかと思っちゃうレベルで感動してるんです』
入院してお世話になったことで看護師、
家族の病気治療で憧れて医師、
そんな感じで、特定の業種のひとたちと触れたことで感化された士郎がそう漏らすと、
『保育士の仕事 いいと思うぞ』
あっさり回答する亜衣さん。
保育士に限らずとも、資格取得や就学にあたっての資金は出すという思い切りのいい亜衣さんにむしろたじろいでしまう士郎ですが、身近な人に保育士資格を持つ人がいたり、友人に相談してみたりで、段々とその意思を固めていき…。
不幸の元凶
俺は…
俺はきっと結婚しないだろうな……
実の家族に捨てられた俺が
まともな家庭を作れる気がしないもんな
誰かを幸せになんて できるわけがない
引用元:ラララ10巻
場面は変わって、亜衣さんの同僚・雑賀先生の結婚式にお呼ばれする桐島家(深羽タンはおばあちゃんのところ)。
士郎と亜衣さんが結婚した理由を聞いたり、幸せそうな新郎新婦を目の当たりにした准はひとり…ずっと持っていた心の闇をふたたび大きくしてしまいます。
准の場合は闇を表に出したり精神を病んだりってことはないんだけれど、将来に夢を描いたり、自分にも人と同じような人生が送れるとはいっさい思っていない様子。
受験の息抜きに来た雑賀先生の別荘で過ごす桐島家と准の友人ら。
とりわけ仲の良い大澤さんに
私 准が好きなんだ
高校生になっても こうやって会って一緒に過ごそうよ
引用元:ラララ10巻
本当は大澤さんが好きな准。
だけど、、
- 実の親に捨てられたこと
- ↑この理由から愛されない人間だと思い込んでいること
- 桐島夫婦を自分の不幸に巻き込んでしまったこと
ここに大澤さんも巻き込んでしまうかも知れないと恐れている彼は、気持ちに蓋をして、大澤さんを遠ざけようとしてしまいます。
結婚式の写真を見せたことで、人並に結婚や誰かと共に生きる人生に憧れがある様子の彼女を、自分では幸せにできないと思い込んでいる准の言葉と態度に、納得のいかない大澤さんの反応は…?
生きている限り
誰か一人だけが我慢した状態で問題ない家庭になるってことは
それは問題あり家庭だろう
引用元:ラララ10巻
士郎の就職に話は戻るものの、結婚して子がいる身で学校に行くのもなぁ…とやはり二の足を踏んでしまう士郎。
やってみたい仕事よりも、今の自分にもできる仕事を選ぶべきか?と亜衣さんに相談するも、
『出来るかもしれない自分のやりたい事を 家族のために我慢すると?』
と、やや大げさに解釈されてしまいます。
学費を家計から捻出すること、就学期間中は生活が変わること、それらが家族の負担になりえると考えていた士郎の価値観と、
『(やりたいことを我慢して家族のために)犠牲になる なんて意識で過ごしてたら見返りがないとしんどいぞ』
家族を会社と見なした亜衣さんの価値観とが混ざり合い、新しく形が変わる桐島家。
…
大人になってから学び直しをする士郎、
『生きている限り色んな事を 学ぶもんだ』
という亜衣さんの医師らしい言葉。
伴侶との出会い、子どもとの出会い、そして死の瞬間。
人は常に学び、成長し続けると…。
ラララ10巻:感想
准と大澤さんの将来、士郎と亜衣さんの今後、そして准の親の話。
人は人と関わることで学び愛し合い、変化していくと強く実感する作品でした。
最後まで亜衣さんが身篭ることはありませんでした。
二人の血のつながった子が生まれなかったことが残念なようで、今の時代にはこんな家族の形もありかも?と感じさせてくれる素晴らしい作品でした。
家族と照明するものは、血のつながりよりもまともな価値観と愛情なのかもなぁ。
専業主夫を卒業した士郎、かつての主婦友が出てこず残念でした。
次はどんな作品が描かれるのか、楽しみです!
完結おめでとうございます!
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