正義感と、虚飾と己惚れと――人との距離感を見誤る女たち
『SNSに囚われた女たち』青咲るそう(著),縛(著),ほの香(著)(NINO)
【あらすじ】
他人のSNSに上から目線でアドバイスを送る女。
マッチングアプリで身の丈に合わない出会いを求める女。
ハイスペック婚で手に入れた生活を「チラ見せ」し続ける女。
あなたの周りにもいるかもしれない、
SNS中毒者が巻き起こすドラマを3本収録した”炎上”オムニバス、待望の第二弾!!
(この本の情報 より引用)
【みどころ】
あなたは間違っている
『返信来た…良かった萌花ちゃん嬉しそう』
間違いは誰にでもある
でも私は今まで間違ったことがない
だからみんなに一つ一つ教えてあげなきゃ
そう独白するのは、所属する部署でチームリーダーを担う中垣 英美33歳。
他社から転職して一年で仕事の腕を買われ&美人で面倒見がいいことから、多くの人に慕われている様子の英美さん。
仕事が終わって帰宅した彼女が日がな行うのは、
ネットサーフィンと、SNSでのアドバイス。
主に知人・友人の投稿に対して行っていたが、ある日友人がRTした育児アカウント、
hanaeさんと娘の萌花ちゃんが目に入り、初対面にして即座に思いついたことをコメントにて送る英美さん。
アドバイス、求められたら応じるくらいの方が人間関係円滑に進みがち!
若いママのhanaeさんに対して、教えてあげている気持ちで接する英美さん。
『間違いないんだから 素直に私の言うこと聞きなさいよ』
それ以来、やり取りを重ねるhanaeさん親子と英美さん。
何か役に立つために…と、子育てサイトを見て回っては情報収集をして土日を過ごしたと後輩女性に話すくらい、萌花ちゃんにのめり込む英美さん。
ある日風邪を引いてしまった様子の萌花ちゃん。
心配で仕方がない英美さんは、SNSに張り付いては情報提供をし、コメントを送り、hanaeさんのリアクションを待つが、、、
返信より先に投稿をするhanaeさんに、
『アドバイスしてるんだからコメント見てください。
心配してる風だけど写真撮る事が常に優先なんじゃないですか?』
『あなたがお母さんで萌花ちゃんが可哀想です。』
と、感情のままにコメントを送ってしまう(;´・ω・)
普段から少し行き過ぎた行動を取りがちな英美さんに対してhanaeさんも、応酬するが…。
英美さんは役に立ちたい一心で行動していても、相手からは『押し付けられている』と受け取られてしまい、悪循環に。
個別の返事を返す前に投稿をした方が見ていてくれてる多くの人を分かりやすく安心させられるメリットはあると思うし、子どもを大事に育てている普通の親だったら、病気の時なんかは特に人から言われる前に大概行動しているわけで、、
『自分の言うことは間違いない』と自負がある英美さんだけど、そのアドバイスが適切な状況か、相手がどういう気持ちでいるかは考えることが出来ないみたい(;’∀’)
『”親切”もここまでくるとただの迷惑じゃん…』
あの一件以来、hanaeさんにぶつけた自分のコメントに対して、
『お節介すぎww何様だよ』
『hanaeさん変なのに絡まれて可哀想。気にしないで!』
『Emiおばさんヒマなんだろうな~』
『萌花ちゃんもこんな恐い人に好かれて迷惑www』
と、言われ放題&すっかり変な人扱いされてしまう英美さん(;’∀’)
仕事ができて、美人で、面倒見のいいイメージの英美さんだったけれど、職場でも段々と良い印象が剥がれ落ち、SNSのアカウントも後輩女性の手によって周知の状態に。
転職する前の職場での出来事、
人にアドバイスしたがる悪癖、
英美さんが萌花ちゃんにこだわる理由、、、
英美さん、なかなかモンスター!
地雷女にご用心
『あだ名は地雷さん』
主人公・啓子さんの部署の先輩、寺井 香さんは42歳独身。
同じ部署内の人が結婚したのをきっかけ&30歳だし良い人いないの?と上司にせっつかれたのを理由に、香さんに勧められるままに婚活アプリを始める啓子さん。
加工アプリで盛りに盛ったプロフィール画像(原型留めてない)、
長文&細かい自己紹介文(めちゃくちゃ要求が多い)、
攻めた服装(スタイルは良いが露出が酷い)、
職場でも、婚活に関しても先輩風を吹かせては啓子さんにビシバシ指導(?)するが、
彼女の婚活模様と性格から【地雷さん】とあだ名がついた理由を察する啓子さん。。
『げっ 先輩…!』
婚活アプリで早速いいねが沢山ついて、その中から歳も近く雰囲気の良さそうな男性とメッセージでの交流を始める啓子さん。
プロフィールの書き方も、プロフィール写真も、先輩のが反面教師になったからこそ、普通の写真で、好感を持ってくれそうな文章を考えることができたと振り返るが…。
相手の男性と初めてお会いする日、なんと同じ店で同じ時間に男性とデートする先輩の姿が!(;’∀’)
『男を選ぶのはあくまで女』と、自分にはいつもかなり強気に言ってくるけれど、必死に取り繕い、男性に縋る先輩はどう見ても普段から上手くいっていない様子(しかも焦り具合から見ても多分何度も同じ失敗してそう…)と察する。
『あんたまさか…』
初デートから婚約まではそう時間のかからなかった啓子さん。
アプリを教えてもらった手前、報告はしておきたいものの…。
(偶然見てしまった)気まずいデートから婚活が上手くいっていないのか、不機嫌オーラ満載の先輩に言い出しにくそうにしていたら、婚約指輪の存在に気付かれ、暴走し始める先輩!(;´・ω・)
『アドバイスをしてやった恩を忘れて抜け駆けは許さない』
『大した努力もしてないくせに』
『ブスが体で釣っただけで偉そうに』
有らん限りの罵詈雑言を浴びせてくる先輩に、啓子さんは…!?
先輩もこじらせモンスター!
だけど、それ以上に啓子さんの洞察力と先見性が秀逸笑
誰も不幸になっていないのである意味ハッピーエンド?(先輩も含めて)
チラ見せ女の復讐
『ーーというアピールがチラ見せでビシバシと~ ウザいんですぅ~~』
入社2年で寿退社をした、春奈さんと、その式に参列した、先輩の結月さん。
ハイスペック婚をした春奈さんの挙式は過去に参加したお式の中でも断トツに豪華で、セレブとなった彼女のSNSもお金持ちの奥様そのもの。
ーーしかし、彼女の同期からはそのSNSが、
間接自慢大博覧会と呼ばれていた笑
本筋の投稿とは関係ないところでの、優雅な生活のチラ見せがウザいとのもっぱらの評判で…。
同期の女の子たちはフォローを一気に外そうと決め込むが、結月さんはそんなみんなを嗜める。
春奈さんは良い性格しているし、プロジェクトの途中で寿退社という職場を混乱させたりもしたけれど、一歩引いて彼女の生活を見るのは楽しいし、何より、無理なお願いを聞いてもらったこともあったから、そこまで嫌いにはなれないーー
と、彼女とのことを振り返る結月さん。
何でも買ってもらえる優雅な生活にも憧れるけれど、欲しい物はなるべく自分で買いたい派の結月さんは、自分が好きなブランドの新作コスメを、次のご褒美にゲットすると、SNSにUP。
『私と同じ道に行こうとして私になれなかったチーフ』
翌日、ランチに出た結月さん。
ーーを、待っていたかのような春奈さん(;’∀’)
一緒にランチすることになり、沢山のブランドのショッパーバッグを食事するテーブルに乗せたまま、ランチとともに撮影&SNSにUPする春奈さん。
相変わらず間接自慢やってるなぁと眺めていたら、その袋の中の一つ、結月さんがSNSにUPした新作コスメをくれるという。
買ったものの、色味が若い自分には似合わないので―と、余計なひと言を添えてしまった春奈さんに、
『欲しい物は自分で買いたいから』
と、キッパリ断る結月さん。
そんな結月さんに春奈さんは、
『欲しい物を欲しいと言わない性格だから、いつまでも男も金も寄ってこない』
と、いきなりバカにする(;’∀’)!
結月さんが春奈さんに聞いてもらった【無理なお願い】とは、春奈さんが参加していたハイスペック男性との合コンに混ぜてもらうこと。
セレブな生活に憧れているのは結月さんだって同じなはずなのに、自分を見下して、仕事が大切とか自分で買いたいとか、本音に嘘ついたままでいいの?
と、どんどん結月さんをつっついてしまう春奈さん、、、
『やだ~~偶然写っちゃった~~』
結月さんの、今は仕事を頑張って、身の丈にあった幸せをつかもうとしている価値観に偽りはなく…。
自分の力で幸せになりたいという言葉も本当の気持ち。
ハイスペック婚にも憧れたけれど、旦那さんの力だけで生活水準が押し上げられた春奈さんに自分の人生の口出しされる筋合いは毛頭ないはず。
モヤモヤを募らせた結月さんが街で偶然目にしたのは、春奈さんの旦那さんと見知らぬ女性。
しかも、春奈さんが完全にお金目当て&SNSに優雅な生活を載せたいだけで結婚したという魂胆に気付いている様子の旦那さん…。
彼らの結婚生活の真実を垣間見た結月さん。
やられっぱなしで黙っているハズもなくーー
【クリスマスツリー】を撮った体で、証拠現場をUPしてしまう!
…これをきっかけに春奈さんのアカウントは削除。
なんの音沙汰もなく平穏に時は過ぎていった。
ーーかのように思えただけで、、、
春奈さん、作品一のモンスター!!!
触らぬ神に祟りなし…( ;∀;)
【感想】
NINOのSNSシリーズ第二弾!
少女転落シリーズや裏アカ破滅と比べると大人の女性向けなので、やはり読んでいて面白い♪
婚活や間接自慢など、年代によってSNSのトラブルも違いそうですしね(`・ω・´)
このシリーズはもう一作品出ているみたいなので、Amazonでの早い販売を待ち望んでいます!
一番ゾッとしたのは最後の復讐話、一番厄介なのは最初のお話でした。
婚活は割と良い話かも?笑
いくら失敗しても周りから人がいなくなっても、『自分は間違ってない』という意識を正すのって難しかったりしますよね。
英美さんのように、SNSでブロックされたらアカウント作り直すとか、上手くやれなくなってきたら何かの所為にして環境を変える(転職)とか、トラブルメーカー気質の人の方が案外図太く生き抜く場合も多いですしね。。
次回作も期待!
今日もお読みいただきありがとうございました♪
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