病院薬剤師vs薬局薬剤師!?普段知らない彼らの、熱すぎる仕事観を垣間見る第2巻!
『アンサングシンデレラ 病院薬剤師 葵みどり 2巻』 荒井 ママレ (著), 富野 浩充 (医療原案) ゼノンコミックス(徳間書店)
【あらすじ】
薬剤師にしか守れない”日常”があるーー。
入院患者の持参した薬に
ミスがあることに気付いたみどり。
調剤した薬局の担当薬剤師に問い合わせをするが
「病院薬剤師の理想を押し付けるな」と
突き放されてしまうーー。
誰も知らない薬剤師たちの奮闘の記録第②巻!!
(裏表紙より引用)
★1巻ざっくりあらすじ
病院薬剤師として勤務する、新米の葵みどり。
薬への思い、患者さんへの思いが人一倍強い彼女は、
その熱意からたびたび周囲と衝突しては
【人と向き合うこと】【医療として大事なこと】を薬剤師としてひとつひとつ学んでいく…!
【みどころ】
『適正量を見誤ることは 健全な病院経営にも影を落とします』
大手調剤薬局の店長から、病院薬剤師に転職したという噂の、
黒髪&眼鏡のクールビューティーな刈谷さん。
いつも冷静沈着・合理性を好む彼女が主導する棚卸作業は、
厳しい&超細かい
ことで有名笑
大学時代の同期と比べても、病院勤務は激務かつ薄給だと自覚しているみどり。
キャリアを積み上げお給料も良かった筈の刈谷さんが、何故病院に来たのか。
何を信念に働いているのかを、垣間見る瞬間にみどりは…。
術後抗生剤の処方量がダントツで多い口腔外科の医師と対峙する刈谷さん。
抗生剤の過剰投与によってかえって効きが悪くなること、
残薬・廃棄の多さから無駄になりやすい薬であること、
医師の経験や技術が病院の財産であるように、医薬品だって貴重な財産。
少しの積み重ねが、やがて体に悪影響を及ぼすように、過剰な処方だって経営に差し障る。
そしてその影響を被るのは、患者さん。
刈谷さんがキャリアでもお給料でもなく、
一番大切にしているのは患者さんであるのかも知れない…。
『精一杯働いて 生きていくための透析治療なんです』
入院患者の服薬指導をするみどり。
持参薬を確認すると、一つの袋に乱雑に投げ込まれ、飲み忘れや服用期間を過ぎたものまで
何でも出てくる( ;∀;)
その上、服薬のタイミングが異なるものが一包化されていたり、
(※食前の薬と食後の薬が一緒になっているとかそういう感じです)
割ってはいけない薬が半錠で処方されていたり、
(※成分の溶出速度が変わって安定した効果が得られないどころか、副作用が出ることすらあるのだとか…)
みどりの認識と異なる薬の処方がチラホラと!
患者さんがいつも薬を受け取るというドラッグストアの調剤薬局担当者・小野塚さんへ
電話をかけ、処方の件について詰め寄るが…。
薬剤師同士、直接対決(?)するよりまず、患者さんへ問題提起を行うみどり。
一回あたり4時間はかかるという血液透析を受ける為、
週に3日は早上がりさせてもらっているという患者さん。
翌日は残業、そしてまた透析の日々。
治療の一助のためにも服薬があると分かっていても、
一番大事にしたいのは大好きな仕事を精一杯やり遂げること。
その為に自分の病気との向き合い方が少し疎かにもなってしまう…
という患者さんの言い分も一理ある(`・ω・´)
きちんとした服薬指導を行ってくれる薬剤師に関わって欲しいところだけど、
彼の生活やルーティンを守るためにも、今できることを模索するみどり。
『…病院の外でも そっちの理想振りかざすんじゃねーよ』
患者さんと向き合えた自覚を持ったみどりだけど、
やっぱり例のドラッグストア薬剤師・小野塚さんが気になる様子…。
だけどそこには、彼なりに抱えた大きな問題があった。
24時間営業とだけあって、患者が持つ処方箋を待っているわけもなく、
処方箋なしで購入できる医薬品の販売
翌朝の投薬準備・監査
薬歴の入力
レジ締め
レセコン のバックアップ、発行
などなど業務は多岐にわたる。
それらを全てワンオペでこなす彼の立場を考えることなく、
【患者に向き合う時間】を十分に持てているみどりの主張と対立して当然なのかも知れない…。
『もう少し人 入れてもらえないですか…』
小野塚さんがやさぐれ薬剤師(?)になったのにも理由があった。
病院と違って、地域の人たちと長く関われると思って薬局併設のドラッグストアに就職したが、仕事のやり甲斐を得たのもつかの間、
ドラッグストアの方針が24時間営業に変わってから彼の労働環境は厳しいものとなった。
24時間営業となったことで、人員確保や他店からのヘルプも入れつつ
働く人を守ると謳っていたエリアマネージャーだけど…。
実情は、
夜間勤務に対応できず転職する同期、
パートタイム希望者が多い(~夕方までの日勤など)
主婦層(子どもの事情で休むこと多々)
などなどのシワ寄せがすべて小野塚さんにいき、
午前11時から出勤して翌朝9時退勤…を週に3日以上。
しかも、掛け合っても改善される気配は無く、
【24時間経営はお客様のため】
という理念は、
【地域ナンバーワン店舗のため(従業員使い捨てで成り立つ)】
という理念が透けて見えるように。
…こうして彼は消耗しきっていた。
エリアマネージャーは言うまでもなくクソだけど、
小野塚さんもここに至るまでにもう少し意思表示をしても良かったかも…?
何でも引き受けていると、周りの人も甘えて来るだろうし、
ムリな勤務形態に異を唱える意思を持ちづらいだろうし。
『患者さんにとって私たちは同じ「薬剤師」です』
みどりと小野塚さんの諸々のやり取りを知った薬剤部主任の瀬野さん。
小野塚さんに会いに行き、勉強会へ来ることを提案する。
元々は高い志を持った薬剤師の一人であるはずの彼。
【患者に寄り添う医療】を模索する立場は同じはず。
目が届くのは院内、退院すればより身近な存在になるのは薬局薬剤師。
薬の管理が悪かったことで発生した様々な問題点に対して、
それぞれの事情を持ち込んで敵対するのではなく、
病院と薬局とで連携しやすい環境づくりがしたい。
と結ぶみどり。
彼女なりの思いに、小野塚さんの心は…。
『白衣の種類いろいろ』
お次は接遇委員のお話!
接遇委員とは、病院職員の振舞いや身だしなみ、院内の清潔感など、
病院全体のマナー向上を目的とした組織なんだとか。
学校で言うところの風紀委員みたいなものでしょうか?
定期的に行われる院内巡視の日。
患者さんと接する機会の多い看護師は、特に厳しい服務規定をもうけられている様子。
患者さんのため~といいつつ、実際は上層部が決めていそうな気がする笑
だって実際、見た目がだらしないとか気にしたことないけど…。
病院で見かけるユニフォーム、こんなに種類があったのね!
個人的には男女ともにスクラブが好きです笑
色んな色があるはず(`・ω・´)
『ある程度決められた範囲の中で 服装にこだわりを入れるのは悪いことではないと思います…』
小児科病棟は子どもたちに親しんで貰うためにも、
ユニフォームやフロアにキャラクターグッズなどを取り入れる事情は接遇委員にも理解されてはいるものの…。
みどりは特に、見た目においてくだけすぎでは?との指摘を受けてしまう。
でも実は、主張したいがためにこの見た目にしているわけではなく
みどりなりに目的があってのこと。
病院勤務する彼らの心や思いに触れる2巻!
やっぱり今回も熱い!笑
【感想】
2巻も熱い&感動的な内容になっていました!
特に、薬局薬剤師vs病院薬剤師のお話は何度も読み返してしまいました。
それぞれの事情を抱えながら相手を見ると、その背景が見えなくなるってことは
自分にもよくあります。
あと都合よく考えたり…。
【患者さんのために】という思いは一致していても、それが叶う環境に身を置いているか
というのも大切ですよね、薬剤師(というか医療者(だって人間だし…。
医療現場は無くてはならないはずなのに、得てしてブラックなことも多いので、
なんとか改善されて欲しいものですが。
せめてもう少し労働者が強くなれればなぁ。
一話一話、面白くてためになって、濃い内容なので大好きな作品♪
今日もお読みいただきありがとうございました!
5月はほとんど更新が無くて申し訳ありませんでした。
またコツコツ頑張ります。
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