過去、現在、未来。教育のゆく末とは?
『子どもは若殿、姫君か?』川嶋 優(著)ディスカバー携書(ディスカヴァー・トゥエンティワン)
【概略】
太陽が東から昇るのを知らない子どもたちと、
お辞儀を知らない子どもたちと、わが子に敬語を使う大人たち。
いったい日本はどうなってしまったのでしょう。
いつのまにか、とんでもない国になってしまいました。
この数十年間、誤った教育をしてきたことのつけが、
だから、たいへんなのです。
家庭でも、学校でも、そして、企業でも。
いますぐ本物の教育・育児を取り戻さなければなりません。
ーー皇太子殿下恩師にして元学習院初等科長による共感と波紋の完
(裏表紙より引用)
【みどころ】
PART1:現代教育の“問題点”とは?
現在、教育界にばっこする誤った4つの教育方針
- 子どもの個性を大切にしよう
- 親の価値観を子どもに押しつけるな
- 教えないで考えさせよう
- 叱らないで躾けよう
(はじめにより引用)
「教育界に跋扈する誤った4つの教育方針」としていますが、
教育の現場に全く詳しくないまま綴りますが、「個性」
その子の特性(≒個性)
千葉リョウコさんの、「うちの子は字が書けない」に登場するフユ
だと学校生活が困難になる児童・生徒が出てきます。
前述のフユくんも、
字が書けないことが理解されないことの根底には「
よく、うつ病等精神病患者に対し「
それが分かり配慮する時代に変わってきたことは大きな進歩ではと
子どもに対してもそれは同じことで。
「個性」と「特性」はまた概念や問題が異なるかも知れませんが、
親・教育者である大人が従前持つ価値観を疑う姿勢、
「価値観の押し付け」
「(中略)だから、臨界期に入る前の子どもたち、
親が自分の価値観を押しつけることを恐れる必要はありません。
ほんとうの個性、その人なりの価値観というのは、大人たちから押し付けられていたその価値観を子どもが乗り越えて いく過程のなかで生まれていくものなのです。」
(本文P.93より引用)
常識、慣習、しきたり、
発想のタネがないと閃きようがないのと同じこと。
PART2:現代は子を若殿、姫君として扱う
書籍タイトルと概略からして、
記事にする本を探していたら目に留まったので読みましたがあまり
『皇太子殿下恩師、元学習院初等科長』
著者の肩書きは凄いのですが、一貫して根拠・
「これは良くない」、「あれはダメ」
あくまで著者の価値観、経験論、美意識で語られています。
形式が「講演の書籍化」なので流れる様に喋り、
せめてそれを受け取る子どものリアクション(
あって講演会に参加した親、元教え子のリアクション。
対大人と対子どもでは反応がまったく異なると思うのですが、
2007年刊行の本なので10年前になりますがもう少子化ではあ
子どもが大事にされて当たり前というか仕方ない(
ゆえに親・
子どもの人間性を軽視した発言や体罰など許される時代ではないか
それを甘やかしと捉えるか否か個々の価値観に委ねますが。
首を捻る論調は他にもあって、
- 日本人は世界でも有名な勉強好き
- 苦手なことは人の数倍やればいずれ出来るようになる
- 親子は傷つかないから子どもにどんどん小言、文句を言うこと
寺子屋の起源は1690年以前、
主に上方、江戸など都市部で広まり、1830年頃には実践的な学
社会が進むにつれ意識の改革がおこり、
長所を伸ばして短所を目立たなくさせるなどの処世術が一般化する
親が子どもに遠慮していたら本気で叱れないというのは分かるので
近年のデータでは“愛情”のもとに、
PART3:参考にしても安全なポイント
「質の良いことを教えるためにいま、
いちばん勉強しなければいけないのは、親と先生です。
子どもに、良い知識、良い道徳心を勉強しなければなりません。」
(本文P.59より引用)
ある時アルバイト先の先輩主婦が、「いくら叱っても、
勉強を見てやったりするのか聞いたら、
子どもの勉強は本人か学校に任せっきりにしていたら、3者面談で
親が読書や勉強といった教養を重んじていない姿勢を子どももよく
引用文の、「良い人間を育てたいと思えばまず自らを律せよ」
と取れる言葉にはとても説得力があるように思います。
その他にも、
- いざとなったらすがり付けると思える人を周りにつくる
- すがるところを何も持たない子どもは情緒不安定
- 叱るときは毅然と、叱っていないときはベタベタに可愛がる
- 「夫婦仲良く」が子どもにとっての何よりの環境
「いざとなったら頼れる、すがりつける」
判断を仰ぐとき、相談に乗ってもらうとき、面を汚さないように…
そういう人が自分にもいるか考えたとき、まずは両家の親、
子どもにとってもそういう存在で在りたいと思える考えです。
すがることの出来る人が不在した人は無縁となり生きる力自体も弱
現代社会自体が既にそういう傾向にあるのですが、
乳幼児期からしっかり甘えさせ(要求に答える)
【感想】
薄くて内容が少ない上に話し言葉で書かれているのでサクサク読め
帯の煽りを受けて購入した様な気がしますが、
著者の意に介さない主張であっても見聞きするなどの関心を持つと
「お辞儀を知らない子ども」
電話しているサラリーマンもそうですが、
日本人にとっては当たり前で安心する・
それを受けて今まで通りに、「
人材育成にはその国独自の伝統的価値観を備えさせるのも重要、
そういう人間を育てて、
日本が変わっていくことに恐れや拒否反応を示す声はありますが、
そういう意味では反面教師的本かも知れません。
しかし書き散らしている要素が強いので、
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