見栄と自己肯定感の低さでかさむ出費―夫に内緒で借金300万
『夫に内緒で借金300万』涼子（著）梅原こうめ（漫画）コミックエッセイ（KADOKAWA）
あらすじ
夫と娘2人と暮らす37歳の主婦・涼子は、一見幸せそうな普通の主婦に見えるが、実は家族に内緒で300万円の借金を抱えていた。
借金の裏に隠されたさまざまな感情を描いた、波乱万丈借金コミックエッセイ。
（この本の情報 より引用）
イントロダクション
コンビニ、美容、ママ友ランチ………
ほんのちょっとの贅沢が、地獄への入り口でした。
引用元：夫に内緒で借金300万
KADOKAWAより2023年3/1に出版された、【夫に内緒で借金300万】。
男性陣（旦那陣？）が震えあがりそうなこちらのタイトル…
その名の通り、家族には内緒の高額な借金を作ってしまい、コツコツと返済していく実話系コミックエッセイ。
レタスクラブ様にて漫画化&連載されていたのを度々読んでいたのですが、このたび単行本化されたということで、早速読んでみました。
…
30歳で結婚し、年子の姉妹を育てる涼子（りょうこ）さん。
旦那さんの健一さんとは車の購入をきっかけに知り合ったそうですが、忙しい旦那さんに頼れないまま慣れないワンオペ家事育児に、大の苦手だった家計管理がのしかかり…
そのストレスと不安を、消費行動にぶつけ、借金が膨れ上がってしまうのが大まかな流れ。
本作品は全部で140pあり、
- 第一章、借金への道のり
- 第二章、借金返済
- 第三章、義母リボ
- 第四章、家族のために
と、涼子さんが借金地獄に陥り、再生していくまでが描かれてします。
冒頭で引用したのは本作品の帯に書かれていた言葉で、とても印象的だったので引用させて頂きました。
ママになってから絶え間なく押し寄せる、育児への不安、義理の家族との付き合いやママ友付き合いという難関、思う通りに一日が運ばないストレス…
それらに立ち向かうかのごとくやっていたストレス解消行為（借金してまでの消費行動）がやがてエスカレートし、借り入れ総額300万という取り返しのつかない事態になってようやく目を覚ます涼子さん。
連載を読んでいるときは正直、ここからどうやって立て直すんだろう…？
と見当もつかなかったのですが、ひた隠しにしながらも必死に自分と向き合い続ける涼子さんの姿に、目が離せなくなっていました。
涼子さん目線のイラ立ちや不安ポイントに共感しきりの本作品。
みどころをご紹介して参りますね。
この記事を読み終わるころには、きっと自分と向き合う勇気を貰っているはず。
地獄への扉
あ…れ…？
コンビニってこんなにキラキラしてた…？
一人でゆっくり品物をみるなんて…
いつぶりだろうーーー？
引用元：夫に内緒で借金300万
浪費地獄に陥ってしまったきっかけ。
それは子どもを旦那さんに見てもらい、一人でコンビニで買い物をしたときに感じた解放感だったと涼子さんは振り返ります。
思いがけず一人になれたとき
ゆっくりと品物を選んだとき
って、育児中とは無縁なので、癒されてしまう気持ちには共感大。
産後、パート復帰したあとも、ご褒美代としてちょっとしたスイーツや日用品を買い求め、毎日コンビニで数千円を消費してしまう涼子さん。
これホントあるある…！
コンビニってどこにでもあるし、何でも揃っているし、何かのついでに…
とカゴに入れていくとあっという間に1000円超しちゃうことあるある過ぎて。
カフェに行くよりドリンクもスイーツも安いっていうのも、免罪符になりやすいんですよね。
保育園に通っているママ友に誘われ、ランチ代、ランチに着ていく洋服一式…
周りのママと年齢差を埋めるためのダイエット用品。
そして美容院代と、子どもが引け目を感じさせないため&見栄とも取れる浪費を重ねていきます。
ママあるあるすぎる…！
産後の出費が増えたことに何となく気付きつつも、
『毎日こんなに頑張ってるんだから』
『ちょっとくらいいいよね』
と、見ないフリ&計算を放置。
…この時点で旦那さんになにかを言われることはなかったのだろうか？
雪だるま式に
消費者金融でカードローンの借金を穴埋めまでしたのに
浪費をやめることができず
その月の返済ができなくてまた借りて
また借りて……
引用元：夫に内緒で借金300万
現金が足りなくて、カード払いをすることが増えた涼子さん。
気疲れするママ友付き合いを止められず浪費、
完璧主義な母親に母親業の粗を責められてはストレスで浪費、
そしてお金を無心してくる義母の存在…（作中一番のモンスター
控えめで内に溜め込みがちなのか、誰にも助けを求められない状況で苦しみが募った涼子さんは、思うが儘に商品をカゴに投げ入れてはストレスを発散。
こんな美容グッズや日用品買ったところで 使うかもわからない
でもカゴに入れると 解放される気がする
引用元：夫に内緒で借金300万
ママになってから圧し掛かる苦しみに身動きがとれず、欲しいかも分からない物にお金を払い続け、そしてついに…
カードローンも消費者金融も限度額オーバー。
…見ないフリをしてきたことへの代償を払う日がきます。
現実を直視するということ
健一が…
ううん私だって 必死で稼いできたお金なのに
私…なにをやってきたんだろうね
引用元：夫に内緒で借金300万
総額300万という金額に震えが止まらず、自己破産や任意整理についても調べてみますが、いずれ家族に知られてしまうのでは？という事を一番に恐れた涼子さんは、
家族に内緒で借金返済をする
という決意を固めます。（それも3年以内！
どんぶり勘定だった家計簿を見直し→支出を削減
大きな支出元にもなっていたママ友付き合いも減らし、少しずつ変わっていきます。
元々やっていたパートに加え家で出来る副業を始め、節約も功を奏し、黒字化する月も…！
しかし容赦なくやってくる、新たなる試練、、、
義母への違和感
いつもはお義母さんの肩を持つ健一が こんなに怒るなんて…
…もし私の借金がバレたら…
こういう事態になるんだね
引用元：夫に内緒で借金300万
10～13時はパートに勤しみ、14～17時は副業。
17時以降に子どものお迎えをして家族が寝静まった21時半ごろ、再び副業に取り組む生活を続ける涼子さん。
何よりもはやく返済したいという思いから、がむしゃらに頑張ったことが功を奏したのか、予定よりも早いペースでの完済が見えてきたころ、、、
お正月に集まった義実家にて、義母がこさえた借金が発覚してしまいます。
涼子さんが節約に勤しんでいることを知って、酔っ払いながら擦り寄って来た義母は、
ポイントもたまるって言われたし
便利だと思ってリボ払いにしたら いつの間にかこうなってた！
引用元：夫に内緒で借金300万
親族の結婚式にて着物に憧れた義母は、リボ払いを使い購入。
着物以外にも浪費を重ね、いつの間にやら100万円の借金を作っていることが判明してしまいます。
着物でタガが外れたのかしょっちゅう使い込んでいた様子の義母は、もう年金じゃ払いきれない様子で、家族に救済を求めますが…。
まったく悪びれる様子のない義母に対し、結婚当初のことを思い返す涼子さん。
義母は見栄っ張りでプライドが高く、誰に対しても些細なことでもマウントを取るタイプの人間で、周囲に裕福だと思われたい気持ちが高まってか、浪費を重ねていたことを見抜きます。
……でも実はこれは涼子さんもかつて持っていた感情で、
人と比べて見栄を張って それで借金して
でもそれは 私も同じだなんて
引用元：夫に内緒で借金300万
家計を見つめたことで、向き合うことの出来た自分の抱いていた感情と起こしてしまった行動。
義母の行いで客観視できた、自分の本当の姿。
結局義母の借金は健一さんが請け負うことになり、毎月の自分の返済と合わせ、義母の借金が圧し掛かってしまいます。
この苦しすぎる窮地を涼子さんはどうやって乗り越えていくのか？
借金返済で感じた本当に大事なこと、
ストレス解消の方法、
夫婦の絆、、、
借金はするに越した事ないけれど…堅実な方法でピンチをチャンスに転じることに出来た涼子さんの人生、ぜひ読んでみてください。
感想
ママになってからの人生って本当に大変で、それまでの人生はなんだったの？ってくらい落差があるし、どんなに苦しくても簡単に人に頼れない…と感じる場面が物凄くあります。
涼子さんも、一番の理解者である筈の旦那さんが育児を涼子さんに任せっきりだったり、完璧主義の実母にはいつも落第生扱いされていたり…
そして何より、頼れる友人がいないことや、かなり手ごわい義母が居たりと、本当にもう精神的に凄くきつかったんだろうなぁと分かる状況で…
それでも頑張ってこられたことをひしひしと感じました。
- 家族に秘め事があること
- 借金があること
それは言わずもがな（社会通念上）良くないことですよね。
でも人知れずそういった手段に出てしまう方々の心境としては、そうすることによって孤独に苦境に耐えていたとも受け取れると考えています。
ストレスからの喫煙、過食、自傷行為、セックス依存や買い物依存、借金などなど…
子どもにストレスをぶつけることもなく、出来うる限りのよい妻、よい母としてふんばり、孤独に問題解決に取り組む涼子さんに勇気を貰いました。
ここで書かせて頂いた以外にもみどころが沢山あって、SNSで他の家庭に感じること、ママ友の存在や近所トラブルなどなど、様々な問題が起こっています。
劣等感や後悔、罪悪感を持つのは、自分だけじゃないんだな…と私は気持ちが楽になりました。
同じように悩みを持つ方、気になる方はぜひチェックしてみてくださいね。
今日もお読みいただき、ありがとうございました。
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