とある女子高の、くだらないお話―女の園の星 1巻
『女の園の星 1巻』和山やま(著)FCswing(祥伝社)
女の園の星 1巻:あらすじ
ある女子高、2年4組担任・星先生。
生徒たちが学級日誌で繰り広げる絵しりとりに翻弄され、
教室で犬のお世話をし、漫画家志望の生徒にアドバイス。
時には同僚と飲みに行く…。
な~んてことない日常が、なぜこんなにも笑えて愛おしいんでしょう!?
どんな時もあなたを笑わせる未体験マンガ、お確かめあれ!
(1巻裏表紙より引用)
全編シュールギャグ
本当の布袋…
本当の布袋ってなんだ…?
仮に本当の布袋がこの姿であったとしても
これを描いた香川さんが本当の布袋を知っているはずがない
どうにかして布袋さんということで終わらせようとするのはよくない
引用元:女の園の星 1巻
とある女子高の国語教師・星は、感情表現をほとんど出さない寡黙な男性教師。
だけど、生徒が持ってくる学級日誌の備考欄に描かれた、絵しりとりにひそかに夢中になってしまっている。
スマホ→?→イカ
”ほ”で始まって”い”で始まる謎の人物って…?
ほっかほっか亭?
布袋?
本当の布袋?
そして隣のクラスで席も隣の数学教師・小林先生いわく包茎?という回答だったりと謎に包まれる謎のイラスト。
絵心のない人間の登場によって生じる亀裂に真剣に頭を悩ませる…。
:
女子高生の他愛ないお遊びに翻弄される星先生、真面目に悩んでいる様子がすでに面白くシュールで、思わず笑ってしまいます。
1時間目という名の1話目は眼鏡を掛けた生気のない男性が絵しりとりに突如登場するのですが、これを描いた女子生徒が誰を想像したかって割とすぐ気付きそうなのに、
星:『布袋…?布袋にしては生気がない…本当の布袋…?(?)』
みたいな導き方をする星先生の感性に脱帽です(作者の和山やまさんにも)。
この作品は、常にくだらないことを考えている無邪気さがリアルな女子高の生徒たちと、それに翻弄される、真面目だけどどこかずれている星先生、ややチャラいイケメン小林先生をメインにお話が進んでいきます。
登場人物は決して多くはないのですが、生徒も先生も、ちょっとだけ出るキャラクターもいちいち言動がおかしいので、1話あたりの情報量が多い&毎度笑ってしまいます。
絵柄や雰囲気が佐々木倫子先生先生に似ていると当初から言われていましたが、シュールギャグが好きならきっとハマると思います。
マンガ指導
星・小林:エターナル カオル……
少女漫画かな?
いっけな~い遅刻遅刻っ!
目覚まし時計もママも役に立たないんだからっ!
どん!!☆彡
いったぁ~い
もう何なのよ~う!
遅刻しちゃうじゃ…
し……死んでる……
引用元:女の園の星 1巻
小林先生のクラスの2年3組で国語の授業中、一生懸命に漫画を描く松岡の漫画がチラリと見えた星先生。
誰かが死んだ様子の一コマが頭から離れない星先生は、小林先生に松岡が漫画家志望なのかを尋ねます。
そこから、学生時代に漫画研究会に所属していたという星先生は、部内でカップルが何組か成立する居心地の悪さを感じつつも、意地で漫画を描いた過去を明かします。
星:『そのせいで辞めるのも腑に落ちないじゃないですか 負けた気分ですよね』
星:『なので最後に マン・ケーン教という教団で僕が教祖となり大学の全サークルを牛耳る漫画を描き上げて卒業しました』
100ページ越えの超大作…!というところで例の松岡が登場し、漫画家を目指しているが箸にも棒にも掛からない自分の才能を疑う彼女からの相談で、星先生と小林先生とで、松岡の描いた漫画を読むことに。
少女漫画風の絵柄にして人が次々と死に、学校で始まるデスゲーム、生き別れの双子の存在、記憶喪失になる主人公、、、と、
あらゆる要素を詰め込み過ぎたカオス漫画に胸焼けを起こした星先生は率直な感想を伝えてしまい、さらに自信を無くした松岡が創作意欲を無くすと、描かれているところから先のストーリーを考えたいと星先生が提案し…?
:
本編・松岡の漫画ともに、絵柄も展開もシュールで、1話目同様お気に入りの話です。
ひとりで漫画の評価を下すのは自信がないという星先生が小林先生に一緒に読みましょう、と道連れにするところまで好きです。
松岡の絵柄で描かれる星先生と小林先生も可愛い(笑)
…
この他にも、クラス犬という犬が登場して教室で飼ったり、
生徒の間で呼ばれる先生たちのあだ名があったり、
小林先生→ポロシャツアンバサダー
星先生→一時期無印良品(今は何と呼ばれている…?というお話)
課題提出で紛れ込んだ驚愕の星先生観察日記
などなど、取るに足りないような日常の出来事を面白おかしく描かれている脱力系シュールギャグ漫画、ハマる人にはハマるし、作品の持つクセがハマらない人も…?
今日もお読みいただき、ありがとうございました♪
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