ぬるま湯人生にピリオドを!生きる力が覚醒する名言集

2017-10-15

『人生を逆転する名言集』福本伸行 (著)竹書房

【概略】

金は命より重い…!
その認識をごまかす輩は
生涯地を這う…!
(本文より引用)

第1章 覚醒 真実に気付くために

第2章 咆哮 社会の裏側から放つ黒い咆哮を聞け

第3章 迷妄 悪意と敗北の渦巻く妄言

第4章 極意 歴戦の勝負師たちに学べ

第5章 不屈 何度でも立ち上がれ

第6章 矜持 決して捨ててはならないもの

第7章 直言 福本伸行本人の言葉

【みどころ】

もう…漕ぎ出そう……!
いわゆる「まとも」から放たれた人生に……!
(本文P.34より引用)

人は誰しも、「成功」を求め「失敗」を恐れるのかも知れない。

一見まともに見える感性。

しかし失敗を恐れるあまり、生き方そのものが挑まず守りに入り、リスクを犯さない人生となることを警告する。

まともに生きたいと願う人は多いだろうこの世に、そもそも「正しい人間」「正しい人生」など明確に在りはせず…自分の人生においての本当に大事なことを考える必要があると感じさせられる一文。

「漕ぎ出そう」という言葉が、突き放す大人の台詞という響きがして痺れるほどカッコいい。

 

第3章の迷妄以外はどれも、人生を奮起させる強い言葉ばかり。

ギャンブル以前に人生に通じる思想がズラリ。

読んでみて感じたのはギャンブルの命運に限らず、

  • 目先の利益に囚われる
  • 人からどう思われるかを気にしすぎる
  • 慢心する

など保身に走り、それが却って自らの身を危うくする価値観だという事がよく分かる

 

命はもっと…
粗末に扱うべきなのだっ…!
命は…生命は…丁寧に扱いすぎると澱み腐る…!
最近の連中はみんなもうやりすぎ…
自分を大事にしすぎた…
その結果 機会を掴めず… ズルズル後退しながら…
腐っていくのだっ…!
(本文P.66より引用)

「命の使いどころ」なんて普通は教えられないし説く人もいない。

ここぞという時には命を賭す、というのは、戦争を想起させるイメージもあるかも知れないとは個人的に思うところ。

“自分の命を懸けてでも守りたいもの、得たいものがある時にはそれを惜しみなく使え”という考えは、その大事なものとそうでないものを分けて考えた方がいいという、メリハリのある、純度の高い生き方なのかも知れない。

そう思うと、お金と命は似ている気がしてくる。

粗末にすべきではないが、差し出すべき時というのは確かにある。

 

愛していた…無念を…!
(本文P.172より引用)

さらに、

「無念であることが、そのまま“生の証”だ」

「不本意の連続…時には全く理不尽な…ひどい仕打ちだってある…!」

「無念が“願い”を光らせる…」

とも言っている。

人生は理不尽。そんな現実を受け入れ、自分の人生における信念とも言うべき「願い」を持つこと。

この願いは各人によって違うだろうが、その願いが叶う瞬間も、人生には確かに存在する。

そのために人は努力し向上するのかも知れない。

 

思う通りにいかないからこそ、人が生きる価値があると言うべき境地に達するのはなかなか難しいだろうけれど…こんな観念で生きてみたら、この言葉

通り、無念さえ愛おしく感じられるかも知れない。

否が応でも突き動かされる言葉が多い中で、最後に引用した名言は異彩を放つ感性をもっていると感じる。

嫌な思いをしたくないと思う人は多いもの。

しかしそんな不遇を愛してみたら、ふとした瞬間に訪れる人生の輝きを殊更に愛せるかも知れないと思わせてくれる。

 

怠惰に生きていることに嫌気が差したら、厳しく叱責されるように感じはするものの、人生の本質、人の尊厳について考えさせられる本書がおすすめです。

 

【感想】

原作を読んだことは無いのですが、ネットでの影響でカイジは名言が多いイメージ。

こちらは2009年に発売された同タイトル作品が新書版に改定され、2013年に装い新たに刊行された物です。

当時ほかの福本作品と肩を並べ平積みされていて、よく読まれていたので気になって買ってみた一冊です。

お客様がよく手に取るから気になって自分でも買ってみるというのは本当によくありました笑

 

名言ごとに読みやすい構成になっている上に逐一解説が入っているのですが、一気に読むことはできないくらい心にグサリとくる言葉が盛りだくさん。

ですが名言揃いには間違いなので、個人的には3回読みをおすすめします。

1度目は通読→2度目は噛み締めるように→3度目は気に入った名言を読み込む

こうする事で、その言葉が深く自分の中に入ってくるし、本当に戒めにもなります。

本は読むことだけが目的ではなく、その教えを血肉にし日々を生きる意味合いもあります。

そういう観点では、打ちのめされはするもののとても素晴らしい一冊だと思っています

ただし人生に色々思うところがある人が読むと間違いなくかなりへこむと思うので…覚悟して読むことをおすすめします。