母親バトルに友達バトル、外堀埋めの課長に皆やりたい放題で最高の4巻!―Bの戦場 4巻 さいたま新都心ブライダル課の慈愛

2018-06-17

『Bの戦場 4巻 さいたま新都心ブライダル課の慈愛』ゆきた志旗(著)集英社オレンジ文庫

【あらすじ】

“絶世のブス”ながらウェディングプランナーとして活躍するわたし、北條香澄。

就職活動のために居候していた弟の芳輝が、帰る前に彼女を呼ぶことに。

それを知った久世課長が二人のために部屋をとり、芳輝に取り入る画策を始めた。

課長と家族ぐるみのつきあいをするつもりのないわたしは慌てるが、その上芳輝の彼女が課長に興味を持ってしまったようで…!?

(裏表紙より引用)

【みどころ】

「心配してるの、よく見てあげてって……言われなくても私が一番心配してるわよ!
当たり前でしょう?自分の子なんだから。
他人が『心配だ』って思う頃にはね、こっちはその百倍とっくに心配してるの!
もっと見てあげろって、どこまで?
どれだけやったら認めてもらえるの?
手がかかる子だからこそ、よく見てあげなきゃいけない。
よく見てあげなきゃいけない子だからこそ、こっちもストレスが溜まるの。
人に迷惑掛けるたびに、申し訳なくて苦しくて…息抜きしたいの、他に生き甲斐を感じる場所が欲しいの。
でも母親がこんなこと言うのは我が儘なんですよね。
子どものためにまだしてあげられることが残っているのにそれをやり尽さないで、自分のために時間を使いたいなんて、母親失格なんですよね?」
(本文p71より引用)

トップバッターは、初婚の男性と、女性側は子連れで2度目の結婚のカップル。

2人は学生時代の知り合いで、当時から想いがお互いにあったものの…女性の結婚で遠のいていた縁が、離婚によって再び巡り会うことに。

子どもがいるカップルはこの作品では初めてかな?多分。

男性の姉がくせ者で、新婦である女性に、同じ母目線で色々物申してしまうところを、鬱憤爆発!

というのも、この女性の子どもが男の子でかなり落ち着きのないタイプなので…仕事を辞めて出来る限りの愛情を注いで矯正したらと詰め寄るんですね。

これから家族になるっていう身内に、色々母親としての在り方に口出しをされたらウンザリしそうです…いくら男性と結婚するとは言え、密な付き合いをしている以上無視できない関係性。

先達てTwitterでも『親は子どもに言うことを聞かせろ・思い通りに扱え』とか賛否両論ある意見が投稿されましたが、そんな無理難題w

この女性も例に漏れずその1人で、到底子どもを100%躾けたり言うことを聞かせたりは出来ないんですよね。

そのことで周囲に気を使い肩身の狭い思いをして…その上、結婚するなら経済的に安定するのだから仕事を辞めてさらに子どもに尽くせだなんて。

家庭内で死人が出ること必至

 

仕事がしんどい』と呟いても同情されるけど、

育児がしんどい』と呟けば、『じゃあなんで産んだの?』『自分が望んだことでしょう』と返ってくる時代。

…。

落ち着きのない子どもを抱え、身内に詰め寄られ、挙式は挙げないと言い出す始末。

お客様の話を聞くために家を訪れた香澄と課長。

2人とも結婚はおろか子どもも居ないため、目の前の苦しむ人の気持ちは分からない。

彼らはどう立ち回るのかーー。

 

「か……香澄さんほどの、その……顔貌に……強い、個性を、持った……?
いえ、その、そういう意味ではなくて……」
(本文p115より引用)

二つ目のお話、新郎新婦の友人ら、ブライズメイドの話題から、課長が「悪魔が嫉妬するほど香澄さんを幸せにする予定だけど

果たしてブライズメイド(花嫁花婿の影武者)を用意したところで香澄さんの見た目を真似出来るか?

と回りくどいこと言っててめちゃくちゃ笑いました笑

なんだ、顔貌に強い個性を持ったて!(`・ω・´)!

 

あの課長と並んだら、芳輝が見劣りするのは当たり前。あの美貌は反則だ。
無差別攻撃の自然災害みたいなもので、意志の力では抗えず、つい見惚れてしまう。
見慣れるまではかなりの精神力が必要だーーめぐっぺも被害者みたいなもので、仕方がないとは分かっているけれど…でも、姉としてはやっぱり、芳輝だけを一途に見てもらいたかったな、なんてことを思ってしまう。
(本文p227より引用)

香澄の表現も相変わらず独特w

 

久世課長に惚れてしまった、芳輝の彼女のめぐっぺ。

課長はカッコいいから仕方ない。だって…と理由を考える香澄が面白いw

 

「お金は減ります。けど泰造くんも言った通り、また稼げばいいんです、
そのためにご両親はこれから死ぬまでせかせか働いたり、方々頭を下げて恥ずかしい思いをされるかもしれませんが、そうしたいのならさせてあげればいいんですよ。
娘三人持てば身代潰すと昔の人は言ったものです」
(本文p225より引用)

最後のお話は披露宴を拒否する二十歳の花嫁とどうしてもやりたい両親のお話。

Bの戦場では最初は本心が見えなかったり違う形になって現れているところを、本当の思いが見えた時の逆転劇が本当に爽快で感動的でみどころ。

私も娘の親になったので、この親御さん方の気持ちはわかるなぁ。

自分たちは苦しい思いをしてもいいから、子どもには綺麗にして嫁がせてあげたい、ただそれだけ。

自分自身、親の思いは自分の中に入っては来なかったことがあるので、娘の抵抗は覚悟していますが…笑

いつか伝わるといいな。伝わらなくてもいいか、愛していると感じて貰えたら!

深くて重くて強烈にあったかい家族愛、最高の回だなぁ。

 

そしてついてに課長と香澄が…♡

 

【感想】

4巻が出ていたことにまた気づけず!

そして映画化!笑

まだ見てない…どこかで観られるのでしょうか?

今回は育児関連と親子のお話、響く内容が多かったなぁ。

みんな何かに苦しんだり、慈しんだり、それぞれの考えを持って生きている、そんな、本当に存在する人たちのように熱い思いが伝わるキャラクターが多くて印象的でした。

課長と香澄の仲もぐぐいと進んでいい感じに…♡

終わって欲しくない、ずっとこれが続いて欲しい作品でもあるけど、香澄の花嫁姿も是非見たい…!

次も楽しみです!

 

 

既刊リンク

ゆきた志旗

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