実父との再会場所に現れたのは―御手洗家、炎上する5巻
『御手洗家、炎上する 5巻』藤沢 もやし(著)KC KISS(講談社)
【あらすじ】
母が放火の犯人とされた、13年前の火事の真実を求め、村田杏子は偽名を使い、家事代行として御手洗家に潜入した。
出迎えた御手洗家後妻・真希子の信頼を獲得しながら、裏で家屋部の捜索を続けている。
かつ、真希子の長男・希一と協力して、母と真希子の過去に迫る。
一方、杏子の妹の柚子は、母との離婚以来疎遠だった父と再会し、真実を探すための助けを求めたが、約束の場所に現れたのは真希子で…!?
(この本の情報 より引用)
【みどころ】
『でも…今日お父さんの横に急に真希子が…』
杏子にさえ内緒で父と密会して火事のこと、母親のことについて聞き出していた柚子。
ーーはずなのに、何故か真希子には二人のやり取り、そして火事の日に何もかが羽織っていた、母のニットの件など、すべてが筒抜けに!
柚子のお願い、『現家族にはこの件を口外しない』という約束は破られ、父との交流はそのほとんどが真希子の元に流れていた。
希一と外出し、僅かな情報を掴んだ杏子。
柚子からの思いがけない告白に動揺を隠せないが…。
『年に数回 行われる御手洗家親族の食事会』
話は杏子と柚子がまだ、御手洗家の子どもだった頃に遡る。
二人の父親、治は4人姉弟の末っ子で、3人の姉たちが親族のこと、治に譲った病院経営についても仕切っていた。
母親(嫁)の皐月は毎度末席に案内され、親族会の小間使い。
その存在がいつまで経っても頼りないこと、
お嬢様のような見た目や振る舞い、
↑これが周囲から浮いた存在でないかを最も気にし、
自分たちの母親(姉妹にとっては父方の祖母)と比較し、
何かにつけては文句を言い、彼女を常に採点していた。
親族会帰りの車内。
治は皐月が姉妹たちから投げつけられた言葉に憤慨し、『次からは守る』と約束したが、その次の、そのまた次の親族会でも、庇ってくれることはなかったというーー。
『前に私が見てたブログ どうやら母が書いたものらしいんです』
柚子の慟哭を受けて杏子は、深夜の御手洗家に潜入。
父と真希子の言っていた、『ニットなんか無い』という言葉を証明するため、希一と共にクローゼットを捜索するが、つい最近まであったらしいニットは忽然と姿を消す…。
そして以前、真希子のブログだと思っていた【Maiの日々ブログ】は、実際は母のブログであるらしいことも判明。
ニット、もとい火事の件、母と父との間にあったこと、、杏子は、父親と直接話をすることに!
『…私 もうずっと家と病院の往復しかしてないのよ?』
病院の仮眠室へと向かった杏子。
そこには柚子と会ったことを姉たちに報告する父親の姿が…。
『母(皐月)が、わざと病院に火をつけたと思っている』理由について問いただすと、姉たちにいびられている皐月のことは可哀相だと思っていたが、継いだばかりの病院をうまく回すことで自分もいっぱいいっぱいだったこと、病院経営という妻の仕事、育児に追われる母親の仕事の両方に圧迫され、そんな状況に皐月が強い不満を募らせていたこと。
↑これら理由から、家を恨み火事を起こしたのでは
と、父親は思っていた。
SNSのコミュニティに参加したことで、妻(嫁)でも母親でもない自分を、皐月は取り戻そうとしていたことも知るーー。
『俺のイメージが悪くなっちゃうだろ!?』
火事の直後に父親は、皐月の友人であった真希子から、
『皐月は家を恨む愚痴をよくこぼしていたから、火事を起こすのも無理はないんじゃ』
という言葉を吹き込まれ、実際に防犯カメラに映る皐月のニットを目にして、恐らく皐月がやったんだろうということで思考を閉じていた。
杏子の、『防犯カメラの映像を警察に捜査してもらえばなにかが違ったんじゃないか』という問いに対し、警察に事件のこと、事件外の家のことを嗅ぎ回られたら、自分の町医者としての、病院としてのイメージダウンにも繋がりかねないと答える父親。
院長として認められ始めていた時期に起きた火災を『ただのボヤ』、『夫婦の離婚はこの件とは無関係』とすることで、地域の信用を優先させた父親の考えと言葉に、ただただ絶望を濃くしていく杏子ーー。
『…私 お義姉さんたちには本当に感謝してるんですよ』
皐月同様、御手洗家の嫁として親族会に参加する真希子。
嫁の定位置、末席から、治と慎二の間に座り、義姉たちにも自分の考えを堂々と述べる。
未だに、前妻と比べられ続けながらも、自分が私生活を露出した活動をすることで病院のイメージアップに貢献していること、外での働きで得た資金を医療設備費に投資していること、
そして今回は、現医院の増設費用も賄っていることから、これ以上病院経営に対し、出過ぎた口出しをすることを牽制する。
増設費用の頭金を真希子が出していること、医院をゆくゆくは慎二が継ぐということを聞かされた姉妹たちは騒然とし、治に詰め寄るが、彼が真希子をコントロール出来るはずもなく…。
そんな家族のゴタゴタを立ち聞きする慎二の胸中は…。
『13年前の12月21日のこの時間 私は皐月さんと一緒にいたと記憶しています』
杏子が父親に詰め寄った際、看護師長・市原にやり取りのすべてを目撃されていた杏子。
久し振りに柚子が病院に来たこと、家事代行業者【山内しずか】ではなく前妻の子・杏子の正体を見破っていたことなどから、真希子の腹心かと思われた彼女だったが…。
実際は、皐月に多大な恩を感じ、杏子たちに協力したいと思っていた。
そして、杏子が所持する防犯カメラの映像を見せると、火事があった日、病院でカルテ棚をひっくり返した自分と一緒に倉庫の片付けをしてくれていた。
と、皐月に当時のアリバイがあったことを証言する!
『このままではいずれ家も病院すべて 奪われますよ』
13年前、皐月との会話を回想する市原は、なぜ皐月がオフ会にこだわっていたかを説明するーー。
もともと引っ込み思案で自分の思いを言葉にして人に伝えるのが苦手だった皐月。
オフ会に参加するようになってから自分の変化を感じた彼女は、治ともっと分かり合うために、御手洗家で生きていくためにも、強くなろうと、心に誓っていたらしい。
そして市原は、真希子が院長室、治の衣服に盗聴器を仕込んでいることを報告。
想像しているよりもずっとずっと、恐ろしい人間であることを自覚すべきーーと忠告する。
『「エリーゼ」さんのコミュニティってこと!』
真希子と邂逅してしまった柚子。
真希子の腹心(の振り)をしている市原は、柚子の動向を逐一真希子に報告する。
もちろんその報告はすべて偽造されたもの。
市原と接触したことで閃いた杏子は、真希子の目を欺く行動の一環として、【山内しずか】そして、真希子の専属マネジャーとなる。
柚子は、希一が教えてくれた真希子のブログをもとに、そこで交流していた人たちとコンタクトを取り、真希子の振る舞い、火事のあった日にしていたことなどの情報を収集していく!
【エリーゼ】というハンドルネームでSNSコミュニティに君臨し、崇拝される真希子は、私生活を詮索しないことを条件に、ファンとの交流を重ねる。
毎週アップされる洋服のコーデ、ハイブランドの私物、そのすべてが皐月の物であったことから、この時から皐月の人生を疑似体験していたのではと推測されるーー。
12月21日の火事当日も、コミュニティの誰かと会っていたことが予想される真希子。
彼女の動向はつかめるのか…?
少しずつ核心へ…!
【感想】
5巻のアップが遅くなり、申し訳ありません(>_<)
段々話が難しくなってきたこともあり、感想を述べることから遠ざかっていました( ;∀;)
しかし読み始めると、どんどん面白さが増していると感じる5巻!
見どころ満載でした(`・ω・´)
万事休す!?と思われた姉妹が、それぞれの得意分野で真希子の情報収集をしていく様は圧巻ですし、現御手洗家の兄弟との協力や攻防を繰り返しているコンビ感がまたイイ!
真希子は想像以上に周到で策略家なことが分かった今回の巻ですが、そんな彼女を監視する立場の人も出てきて、今後に期待!
父親は思った通り胡散臭い…というか頼りない存在でした笑
6巻は春頃発売予定!
今日もお読みいただきありがとうございました(`・ω・´)
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