女同士の不倫なら…アウト?セーフ?切ない愛憎劇ー夜鷹、廻る
『夜鷹、廻る』八汐ごよう(著)ヤングキングコミックス(少年画報社)
夜鷹、廻る:あらすじ
『女同士なら不倫にならないって思った?』
主婦・優香子は同窓会で千波と偶然再会する。
始まる秘密の逢瀬にのめりこんでいく優香子だが千波の視線は仄暗く…!?
人妻×女友達の苦くて甘い濃厚不倫百合譚
(この本の情報 より引用)
夜鷹、廻る:みどころ
『口紅の色 濃くなった』
ラブホテルでキスをする、既婚者の優香子(右)と、独り身の千波。
同窓会で再会した二人は、高校時代の恋人同士。
千波の、『また、昔みたいに会おうよ』
という台詞を、
高校当時の恋人のように、と解釈(期待し)、肉体関係も持ってしまう。
『私を裏切って 男のものになってから』
女同士の恋愛ではなく、異性と結婚をし、世間一般から見て【普通の人間】に見えるように努めてきた優香子。
お義母さんには子作りを迫られ、旦那さんには色気がないとかで笑われ、自分なりに精一杯やっている優香子は、そんな日々に少し疲れていた。
偶然再会した千波の存在は、そんな煩わしい日常を忘れさせてくれる、麻薬のように甘い存在。
ただ、束の間の逢瀬を楽しむだけの筈が…
裸になった優香子を、冷たい視線で撮影する千波。
彼女にはどんな思惑が…?
『千波ぜったい 似合うよ』
二人の逢瀬は月に2回。
食事をし、買い物をし、普通の女友達のように楽しむ二人。
千波に似合いそうなスカートを見つけた優香子、さっそく彼女にあてがってみるが、一瞬で消え去る笑顔。
優香子いわく、『服の好みが変わった』らしい千波。
試着もせず商品棚に戻してしまう千波だけど…
この行動にも実は意味があって、それが後で分かると、まあ、もう胸熱。
『終わりにしよう』
高校卒業と同時に終わった二人の関係。
愛し合っていた二人だけど、優香子が『付き合い続けていたってどうにもならない』と、同性愛に無理解な社会を悲観してか、女同士で付き合い続けることに自信が持てなかったためか…見切りをつけた模様。
そんな優香子の一方的とも思える心情を、潔く受け入れた千波。
千波には遺恨が残り、別れを告げた側である優香子にも心残りはあって、今に繋がっている二人。
『旦那さんに見せてもいい?』
旦那さんとのやり取りで、千波を家に呼ぶことになった優香子。
いつも通りの二人でいるようで、部屋に夫婦の写真が一枚も無いこと、結婚式の写真にも愛着を持っていない様子の優香子を、『変な感じのする家』と言ってみたり、
冒頭で密かに撮っていた、ベッドで眠る裸の優香子の画像を旦那さんに見せようとしたり、意地悪(?)がエスカレートしていく千波の思惑は、
あの頃をやり直すのではなく、
優香子が求めた普通の幸せとやらを、ぶち壊すため。
…
楽しく過ごしていたはずの関係が剥がれ落ち、剥き出しの感情でぶつかる二人。
千波が持つのは、優香子への強い強い執着心と、愛情の混じった、憎しみの感情。
そんな千波の本心を知った優香子は、
何を手放して、何を得るのか…
百合不倫、イイ!!
【感想】
百合不倫!?
そんなジャンルがあるなんて、、、
と、百合好き(BLも好き)の私はジャケット買いしたのですが、これは当たりでした。
女同士だろうと不倫はNG、優香子は軽い気持ちで千波との逢瀬を重ね、楽しい時間を共有していた筈が、とんでもない展開を迎えます。
…正直なところ、優香子の気持ちの掘り下げや、夫の新汰の気持ちなどなども知りたかった点ではサクッと描かれ過ぎている感じがしたのですが、千波の持つ仄暗さやミステリアスなキャラクターが、作品全体の底上げ&カバーしている様に思いました。
一緒に居られないから別れたはずの二人。
が、また出会って、付き合っていたころの続きをする…
わけじゃない展開に、ハラハラドキドキが止まりませんでした!
ややネタバレですが、ちゃんとハッピーエンドなのも魅力的。
この二人のもっとおちゃめな部分や、今後の話も読みたい、と思っているのですが、1巻のみで完結とのこと。非常に残念です。
性描写はなまめかしく、謎の多い二人の仄暗く情熱的な逢瀬。
絵柄や上記ワードのどれかに引っ掛かった方にはかなりおススメです。
今日もお読みいただき、ありがとうございました!
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