“本当の問題”について気付き始めた凪と、お母さんの置かれた状況と――?

2019-09-14

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『凪のお暇 6巻』 コナリミサト(著)A.L.C.・DX(秋田書店)

 

凪のお暇 6巻

 

【あらすじ】

季節がうつり、転職活動に動き出した凪。

凪を見るたび、胸がしめつけられるゴン。

そして後輩・円と大接近する慎二。

 

絡まり、もつれる関係は……?

 

 

【みどころ】

凪のお暇 6巻
コナリミサト(:凪のお暇 6巻(秋田書店)

『こいつ俺のことめっちゃ好きな空気出てるよなー』

 

可愛い見た目に可愛い性格の、慎二の後輩・市川 円。

上記のスペック(加えて八方美人)から、場の空気や人間関係を壊してしまう特性を持つ女子。

あえてやっているというよりは、男性からは惚れられやすく、女性から妬まれやすいという抗いがたい宿命のもとにいたりする笑

 

人知れず苦労をしている円だが、そんな彼女のことを慎二だけは、

『八方ブスよりマシ』といい、営業成績も高く評価している・

…ことから、彼女の好意を少なからず感じ取るように。

 

凪のことが少しずつ消えてきた慎二の心に、円が入り込む…のか?

 

凪のお暇 6巻
コナリミサト(:凪のお暇 6巻(秋田書店)

『自分探しってきっと 自分の置き所さがしなんだって』

 

自分なりに美味しいぬか漬けを漬けられるようになったこと、

(↑実家のぬか床より美味しくできた=親を超えられた?)

戦友・坂本さんの転職成功により、

刺激と自信を得た凪は少しずつ転職活動に本腰を入れるように!

 

どんな自分でも受け入れること、開示することで変わっていく人間関係を見て、これからどんな人に出会ったとしても、何があっても、きっとやっていけるーー。

 

…真っ白な職務経歴を前に、多くを望むことを辞めて諸々の条件を飲みこみ、たたみかけるように体裁を取り繕っていく凪に、本人の感情とは裏腹に周囲は不安を募らせるが…。

 

凪のお暇 6巻
コナリミサト(:凪のお暇 6巻(秋田書店)

『ひとつひとつ丁寧に 吉永さんに選ばれたものたちなんだろうな』

 

小学生の友達・うららちゃんの純真さ、誠実さに触れ、

なんとなーく、再び自分をごまかして生きようとしていることにそれとなく気付いた凪。

実家を超えられたと思っていたぬか床は実は実家の味に酷似していて、

いとこの結婚式のために上京してくるお母さんのために、大急ぎで自分の人生を”それなりの形”に整えようとしていたことを嫌でも自覚してしまった凪は、居た堪れなくなり自分の部屋から家出笑

そして上の階の映画好きの吉永さんに拾われるというw

 

アンティークのイスとテーブル

ステキな花柄の壁紙

圧巻のプロジェクタースクリーン

 

こだわりの感じられる素敵な部屋とインテリアの数々♪

こういう部屋行ってみたいし、こういう部屋にしたいなぁ

 

凪のお暇 6巻
コナリミサト(:凪のお暇 6巻(秋田書店)

『私はもうそんな映画 観たくないです』

 

映画好きな理由、それは

”ほんの数時間着席してるだけで誰かの人生を視姦できるのが堪らない快感”

らしい吉永さん笑

 

人生そのものが=映画

だと考える吉永さん。

脚本・監督・カメラ・演出・主演などなど

全てが自分で撮っている映画…。

それぞれみんなが観たいものを観たいように編集して、その人が”粋”だと思うジャンルに集うんだそう。

 

その話から、外から入ってくる情報に色を付けて偏見を持ち、無意識の内にそのレベルに寄せに行ってるのが自分の映画(人生)なのかな…と考える凪。

 

現実が苦しいんじゃなくて、自分の認識そのものが歪んでいる可能性も。

 

そして、吉永さんがどんなに映画が好きでも時折見つけてしまう、胸の苦しくなる映画とは、”見えない大きな力に体裁を整えられた映画”だという。

大人の事情に捻じ曲げられ、焦って畳みかけられ作られた映画には、キュンとこないらしい。

 

抗いがたい、見えない、大きな力に体裁を整えられる…

という話に、凪ははっきりと自覚する。

見せかけの、”ちゃんとしている”様に見える人生を作りだし、母親に採点してもらおうとしている自分を…。