36歳OL・杏の悩みは、結婚してくれない彼氏とバカばっかりの職場と…ーすぐ泣く女に機関銃

2019-09-10

すぐ泣く女に機関銃
和田 依子:すぐ泣く女に機関銃(ソルマーレ編集部)

『この人のこと好きになった だから 別れてくれ 杏』

 

業務ミスで叱責され、後輩に対しても暴言を吐いてしまった杏。

不安定すぎる杏に対して引き気味の職場内、そんな空気を感じ取って勤務中に会社を抜け出してしまった杏は、歩いて15分くらいの哲の会社へ。

 

ーー途中、見知らぬ女性と手をつないで歩く哲の姿が……!

 

8年付き合って、結婚まですると思っていた大好きな彼氏。

いつの間にか心が離れ見捨てられていた。

 

すぐ泣く女に機関銃
和田 依子:すぐ泣く女に機関銃(ソルマーレ編集部)

『全部 俺の』

 

その日のうちに同棲も解消することになった二人。

 

哲の言い分を静かに聞いているが…。

 

家でレースを観戦する哲のために用意してあったワイン、

 

ーーーを、手に取り大きく振りかぶる杏。

 

昔から自分に自信が無く、自分のことを愛することができなかった杏に唯一あった、大切なもの。

大好きな恋人との未来は消え去り、本当に空っぽになった杏は…!

 

 

恵まれている誰かを認めるなんて、

惨めすぎてできない。

 

だけど、

人のやさしさを認められないことの方が

よっぽど惨めだ。

 

すぐ泣く女に機関銃:感想

 

サンプルを読んで、小津さんのルックスに一目ぼれして購入に至りました笑

おかっぱ+ウシジマくんみたいな眼鏡に弱い…

デストロ246に出てくる苺みたいな…

 

またこれも昨今大ヒットパターンの痛い女の転落劇か?

と思いきや全然違いました!

どちらかというと自己肯定感を育む系かな?

 

今の時代、好きなものが無いのって割と生きづらい時代ですよね。

好きなことを見つけて伸ばして、それで稼ぐ人を嫌でも目にするわけですから。

 

杏もそんな一人で。

当初はどうしようもない人だなぁと思いつつ、誰かを妬んだり僻んだりする気持ちは自分にもかなりあったし、得意なこと、夢中になれるものが無かったから人が羨ましくて仕方なくて…愚痴や文句で疎遠になった人間関係も沢山あったことを思い出しました。

 

杏にとって、小津さんは天敵ともいえる存在なんですが、

小津さんが杏に対し、『つまんねー人間』と言い放ったことにより、

杏が、『特別な「何か」がある人間に自分の気持ちなんて分かるか』と応酬したことにより、

 

二人の関係も未来も大きく変わっていきます。

それが堪らなくイイ!

 

杏は幼少期から何も続かなくて空っぽで、ただ恋愛だけは自分にも平等だったから…

と、その時その時できた恋人を最大限愛していた、というのが彼女なりの歴史

 

自分を認められないから周りを気にかける余裕がなくて、被害者意識をついつい抱きがちな杏が、自分の頭で考えて人生を立て直す様は正直、泣いてしまいました。

 

これを描いた作者さんは、かつて同じ様な思いを抱いたり、もがき苦しみながら活路を見い出したりたり、はたまた杏の様な人と出会ったことがあるのかなぁとか思いを馳せたりしました。

 

冒頭にも書いたとおり、”好きなもの(こと)”、”得意なこと”が無い人にとって現代は、少々生きづらいように思います。

周りに迷惑をかけながらも、本当は自分が空っぽであることに気づいていた杏は、その穴を埋める方法が分からない。

傷つけ、傷つけられながら見い出した彼女なりの幸せに注目です!

 

これは本当に良かった。

作画も綺麗で何度も何度も読み返してしまいます。

ちょいネタバレですが、変化があった後の杏の日常が僅かに変わっているシーンがあるんですが、そこにも気づいていただけたら凄く嬉しい笑

 

今日もお読みいただきありがとうございました!

 

 

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