二度と戻らない青春、募る想いーー17歳の秋はせわしなく

2018-09-12

『恋は雨上がりのように 6巻』 眉月じゅん(著)ビッグコミックス(小学館)

【あらすじ】

「橘先輩、こんなところで何してるんですか?」

純粋さゆえの鋭い言葉に、心を揺さぶられつつ、

あきらはクリスマスに向けて店長に対して“あること”を決意する。

17歳の秋は足早にめぐってゆくーー

(裏表紙より引用)

 

【みどころ】

眉月じゅん:恋は雨上がりのように 6巻(小学館)

大好きだった陸上を離れるきっかけになった、足の怪我。

 

夢の中であきらの右足の先は、黒い闇に飲み込まれているようだった。

彼女にとっての怪我は、悪夢にうなされるほど強く影を落としていた…。

 

眉月じゅん:恋は雨上がりのように 6巻(小学館)

『あげるんだよね?その…好きな人に…?』

 

季節は秋に移り、10月に。

好きな人に手編みのマフラーを贈りたいというユイちゃんに触発され、

『あたしも編みたい!』

と意気込むあきら笑

喜怒哀楽が薄めなあきらが鼻息荒くしてるのかわいい~!╰(*´︶`*)╯♡

 

眉月じゅん:恋は雨上がりのように 6巻(小学館)

『好きになったのがこの人でよかったって…思ってるよ』

 

マフラー用の毛糸を買って、バイトの時間までお茶する二人♫

 

ユイちゃんから、片思いの相手を好きになった理由について聞かれたあきらは、

『落ち込んでいた時に元気づけてくれたから』と答える。

もしも別の人が元気づけてくれたとした、その人を好きになった?と再び聞かれると、

それは分からないけど…彼(店長)を好きになって良かったと思ってると答えるあきらの表情は、満ち足りていてとても穏やか。

あきらの恋心はあくまで彼女の感性に従っているところがあり、カッコいいから好きとか特徴があっての好きとか…普通とは違うかも知れないけど、

こだわりの強いあきらが、この恋とその相手を慈しんでいることは確か。

 

眉月じゅん:恋は雨上がりのように 6巻(小学館)

『もう 忘れちゃった!』

 

移動中の電車内でも夢中で編むあきら。

 

苦戦するあきらに声を掛けてきた女性、

かつては彼女も“好きな人”のために編んだという。

贈られた相手は喜んでくれたのかあきらが尋ねると、

昔の事だから、もうね…と明るく微笑む。

偶然出会ったこの女性は勇斗のお母さん。つまり、近藤(店長)の元奥さん。

 

時を重ねて、思い出が薄れるまでに様々な経験をしたであろう年上の女性と、直向きに熱く、青春を生きるあきらとの対比が何故だか切ない。

どんなに胸を焦がす日々も、忘れてしまう時はいずれ訪れる…。

 

眉月じゅん:恋は雨上がりのように 6巻(小学館)

あきらのバイト先に一度訪れた他校の後輩・倉田みずきが再び現れ、あきらめがけて

猛ダッシュ!

 

あきらが陸上から離れた理由、

走らない理由を知った彼女は、

『どうして走らないのか』

と詰め寄る…。

 

実はみずきも、あきらと同じく、アキレス腱断裂を経ていた。

訴えかけるようなみずきの強い眼差しに、あきらは…。

 

眉月じゅん:恋は雨上がりのように 6巻(小学館)

『どうしてーーー』

 

倉田みずきについて、はるかに尋ねるあきら。

京都から越してきた、新人戦200mの記録保持者だという。

 

『あきらの記録はまだ抜かれてない』

 

あきらが陸上から離れている理由を問いただすように詰め寄るみずき。

 

あきらの思いとは…。

 

【感想】

バイト先に現れた後輩、倉田みずきによって、陸上への思いを揺り起こされ、揺さぶられるあきら…。

陸上をまた始めるか否か葛藤しているのか、気持ちに蓋をしているのか、語られぬまま表情を硬くするあきらの多い巻でした。

陸上や人間関係についての展開が多く、店長との絡みは少なめなのがちょっと寂しい笑

 

でも!

やっぱり、あきらにとって陸上は特別だという事が分かる巻だったと思います

恋は恋で、あきらにとってとても大切なものには違いないけれど。

本命(陸上)を埋める為のもの(代替)…という感じがしないでもない。

雨の降る日に傘を差してくれた相手が店長で良かったと口にするあきらの、その気持ちは絶対に嘘ではないと分かる。

ゆえに、どちらに対しても真っ直ぐな気持ちを持ってるんだろうな。

みずきがあきらをゆさぶるのは、凄い選手だと分かっているから。

そして同じ怪我をしているから。

 

葛藤するあきらの行く末とは…。

 

7巻も近いうちに!

今日もお読みいただきありがとうございました♫(*☻-☻*)

 

 

 

既刊リンク

眉月じゅん

望みがなくとも、報われなくとも、想いは曲げない。ーー季節は秋へ

自覚した恋心と揺れる思いーー燻る情熱の炎

 

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