受験界のスポ根漫画再降臨、落ちぶれた高校を改革するのは生徒自身!

2018-06-25

『ドラゴン桜2 1巻』三田 紀房(著)モーニングKC(講談社)

【あらすじ】

「東大なんて簡単だ」

バカで有名な龍山高校から東大合格者を輩出し、

学校の建て直しに成功した東大合格請負人・桜木建二

2020年教育大改革を目前にしながら、すっかり落ちぶれてしまった龍山に、再び桜木が乗り込む。

片腕はかつての教え子・水野直美。

絶大な権力で龍山を支配する女帝・龍野久美子と、

シラけきった全校生徒を前に桜木が叫ぶ。

「大学は東大!東大へ行けっ!」

(裏表紙より引用)

 

【みどころ】

「龍山の評価はこの事務所の評価でもあるんだ!」

 

受験というと子どもにばかりスポットが当たりがちだけ、どドラゴン桜はあくまで経営者目線、ビジネスとしても受験を捉えているから面白い。

偏差値30台の落ちぶれた高校を進学校として建て直したはずが、再びの凋落…。

この年は合格者が0人であったというからその没落ぶりはかなりのもの。

桜木が指導者として高校を離れて、新しい理事長代理が来てから異変が起きているらしい。

 

「2020年に大学入試制度が大幅に変わるんだよ!」

 

有志による懇親会で、今年度の進学成績について意見交換を行う教職員ら。

「東大合格にこだわらなくてもいいのでは?」

「ランクを落としてでも合格圏内の大学を受験させるべきだった」

「早慶立教など人気の私大合格者は増加している」

などなど、複数の教職員から、そもそも東大を目指さなくていいんじゃ…と消極的な意見が出る中、会議室に着いた桜木が一喝。

あくまで龍山高校の目標は東大合格者輩出校として名を馳せ、進学校として確固たる地位を確立すること。

あとたった2年、それまでに受かるまでの実力・準備は万端なのか?と迫る桜木に、理事長代理の女帝・龍野久美子が現れる。

 

「東大へ行けっ!」

前回のような改革を起こすには学園の経営陣に加わるしかない、と、従前の教職員らと懇意にし、理事長就任。

終業式で生徒らに吼えるも、リアクションは薄く…

賢くて冷静でどこか冷ややかな現代っ子をよく表しているシーン。

 

「なんの取り柄もない役立たずだ!」

 

何となく生きられる時代は終わったというのに、グズでノロマでどうしようもない!と吼えまくる桜木笑

それでも反抗したり言い返したりもしない生徒たち……。

しかし、ある二人の生徒の心には小さな火が灯った場面でもある。

全校生徒300人が東大を目指すのではなく、その中で一人、二人が来てくれれば良いと。

 

「東大専科を正式に発足させる」

 

2年生である早瀬奈緒と天野晃一郎。

きちんと目標立てて努力し続けることが苦手で、親を始めとする大人からほとんど怒られた記憶がないという早瀬。

甘やかされて育ったからこそ、自分にも甘くなってしまう事から、そんな自分を受験を通して変えたいと考えている。

桜木の演説のような喝に、強烈な印象を受けたらしい。

天野は、小さい時から真面目で几帳面な母親に厳しく言われ、何をするにも「よく考えて行動しろ」と言われた結果、考えすぎて動けなくなったり、自分が何を考えているのかさえ分からなくなる事に困っていた。

桜木の「グズでノロマ」というセリフに心を決め、東大専科の門を叩いたとのこと。

それぞれ、文系と理系を目指すことを命じられた二人。

(東大専科では志望先も決められる。)

学科が異なるにも関わらず、二人一緒に、しかもスマホ(ネット環境を通じて)で勉強することに!

以前から難関大コース指導として就ていた教職員からは、理事長就任や東大専科発足が突然の事とあって不満噴出、理事長代理が龍山高校の廃校を目論んでいたりと不安定なまま1巻は終了。

 

考えるな!動けっ!

 

【感想】

普段よくアクセスする漫画サイトでドラゴン桜2が連載されていて、面白かったのでコミックス派に(`・ω・´)!

全シリーズはドラマにもなりましたね、山pガッキー懐かしい…笑

「成功のその先」を描く作品ってそこまで多くない印象なだけに、リアリティがあってやっぱり相変わらずの面白さ。

今は弁護士となって桜木の片腕として働く水野がいた頃よりも、高校の偏差値も上がり風紀も向上している様子なのに、生徒や教職員の士気はいまいち…

底辺からニュートラル、さらに向上させるのとどっちが難しいんだろう?とつい前作と比較して考えてしまいますが、時代が違っても桜木の主張はブレる事無く、付いてくる生徒も現れ始め、やっぱり情熱は時代を問わないんだなぁと感じたり…。

理事長代理、難関大担当職員、東大専科の生徒たち、ドタバタしながらこの先どうやってさらに面白くなっていくのか、はやく2巻が読みたい!

 

 

既刊リンク

受験に打ち勝つこと、すなわち己に打ち勝つこと。過去問挑戦で早速の試練!

 

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