越智に危険視されるかなえ。序列の変わったグループは、次の排除者を決定する―君に愛されて痛かった4巻
『君に愛されて痛かった 4巻』知るかバカうどん(著)BUNCH COMICS(新潮社)
君に愛されて痛かった 4巻:あらすじ
他校の高校球児・寛への執着心を強めてゆくかなえ。
家庭に居場所はないが、学校では特定のクラスメイトを排除する形で立ち位置を確保していた。
一方、寛のチームメイト・越智は、かなえの存在が寛にとって危ういものではないかと考えるようにーー。
(この本の情報 より引用)
☆これまでのあらすじ
自分を虐めた相手を排除し、学校に通うようになったかなえ。
しかしグループ内で自分の恋心を否定されたことにより、情緒不安定からの喧嘩…。
親友であった鳴海が逮捕されたことも相まって、自分の存在理由が分からないかなえは、寛にその優しさの本心を問いただすが…。
君に愛されて痛かった 4巻:みどころ
『寛君は …誰にでもあぁいう事しちゃうの?』
恋心を、とみ子に否定されたことで感情が暴走したかなえ。
話を聞いてもらおうにも幼馴染の鳴海の姿はなく、家を追い出されて彷徨っていた。
寛に病みLINEを送ったことにより、部活の練習後にかなえの元に駆け付けてくれたが…。
そんな寛の無償の行為ともとれる行動に、どうしてそこまでしてくれるのか問いただすかなえ。
『友達が泣いていたら行くに決まってる』
もっというと、
『かなえが泣いているのを見ると放っておけない』
と、本心を話してくれた。
恐らく気持ちを言葉にするのがそこまで上手じゃないはずの寛の精一杯の感情表現。
『好き』
とは言っていないが、
『彼の中では自分は特別な存在』
と、かなえは認識したはず。
『しかし 俺にしか出来ない事がきっとあると思う』
野球のチームメイトで幼馴染の、越智。
寛と同じ学校で、誰よりも寛を見てきた越智が気付いた異変。
かなえと出会う前と出会った後とで感じる違和感に、長年バッテリーを組んできた立場としても友人としても何か支えになりたいと考えるが…。
『この人が言ってる事…分かんない…分かンないよォ…』
とみ子と揉めた翌日、仲直りをするはずが、同じグループの里虹と瑠奈はとみ子をハブに。
二人の雰囲気に押されて、とみ子に声をかける勇気を持てないかなえ…。
そんな時、寛ならどうするか相談をしに、寛の学校へ。
そこで遭遇した越智に、『寛のこと好きなの?』と質問され、あげく
『今の野球の頑張りが、次のキャリアに繋がる大事な時期だから、諦めてくれ』
と、言われてしまう…!
寛いわく、越智は【大事な友達】らしいが、越智の言っていることが全く理解できないかなえ。
そして、寛が肩を怪我していることも知り、『そんなに苦しいものなら(境遇や評価が)、野球なんてやめちゃえばいいんだ!!!』
と、独自の解釈をする。
『寛君は 寛君は』
かなえの感情の昂ぶりを目の当たりにした越智は、住む世界の違いから、別に好きな相手が寛じゃなくて良いだろう…と見限る。
自分のことを肯定できないかなえだけど、そんな自分でも優しくしてくれた。
それが好きな理由だと越智に告げるが、
『寛は誰にだって優しいし、お前だって数多くいるうちの一人。』
と言われ、
依然寛が言ってくれた、放っておけない
という言葉は嘘…?と自問自答する。
もしかしたら自分は特別な存在でもなんでもなくて、寛が嘘をついているのかと不安になるが…。
『…そういうメリットとか損とか得とか…空気とか…全然意味分かんないもん…』
未だにとみ子を無視し続ける里虹と瑠奈に嫌気の差したかなえは、とみ子も一緒じゃなければ遊ばないとはっきり意思表示!
動揺する瑠奈をよそに、里虹は二人を見限る。
安全地帯よりハブになったとみ子の傍にいる理由…
かなえの行動の真意が分からないとみ子は、『どんなメリットがあってこんな事をするのか?』と、聞くが、
空気読んで
メリットとかデメリットとか考えて
思ってもないこと言う関係
…
かつて自分がされたことで苦しんだ経験から、【まわりが求める人間像】であろうとすることは虚しいし、されて嫌だったことをしたくないと語る。
『かなえは何が好きなの?』
泣きじゃくって化粧の崩れてしまったとみ子に声をかけるかなえ。
今まで二人の関係は、一花の号令でかなえを虐めて、とみ子の言葉でかなえが怒って…と紆余曲折あった二人。
グループからはみ出した者と追い出された者同士、通じるものがあったのか、行動を共にすることで次第に互いを知っていく。
放課後、タピオカ&クレープ食べて、洋服買って、プリクラを撮る二人がとっても微笑ましい!
とみ子は登場人物の中では割とブサイクに描かれているけれど、笑った顔はとってもかわいい笑
寛からのお誘いで、全国高校野球選手権東京大会
にやってきた、かなえととみ子!
越智の言うとおり、2年の寛にとってはとても重要な試合らしく、寛の気合いも十分!
…しかし、隠しきれない肩の不調が次第に点数に現れるようになり、
投手としても打者としても、思うような結果が出せず、試合相手に圧倒されてしまうように…。
取り繕い切れない痛みを抱える寛に急いで駆け寄る監督やチームメイトたち…。
そんな彼を見てかなえは…?
君に愛されて痛かった 4巻:感想
一花が完全に出てこなくなりましたね(;’∀’)
3巻の時点ではまだ大丈夫かな?と思いましたが、待っている筈の友達がいないと分かり挫かれてしまったのかも知れません。
もう少し気丈なキャラかと思ったけど…。
鳴海の動向も掴めないまま。
初犯だったとしても暴行罪なら懲役は2年くらいでしょうか?
その間のかなえの怨念というか情緒不安定の受け止め先が寛になり続けると思うとやっぱり不憫…。
人間関係で大切なことを、少しずつ学んでいくかなえ。
応援したい気持ちもある反面、一花にあれだけの事をした子だしなぁ…。
という気持ちが拭えません。
でもこの世界の登場人物たちはだいたい、やったりやり返されたりしているので、一花もある種その因果応報のループに入っているとも言えなくも…?
1巻を見返した限りでは、寛がかなえを刺しているんですよね。
BADEND不可避な作品なだけに、どうやってそこまでいくのかまだまだ目が離せない。
肩を壊された寛の野球生命が早くも危機的状況に入ってきたので、ここからかなえとの転落も早いような気はします。
5巻の発売日は未定。
今日もお読みいただき、ありがとうございました。
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