アルコールが狂わせた男の一夜…日本で絶滅したはずの密室殺人をコミカルに
『ちょっと一杯のはずだったのに』志駕 晃(著) 宝島社文庫 「このミス」大賞シリーズ(宝島社)
【あらすじ】
秋葉原FMの人気パーソナリティの西園寺沙也加(さいおんじ さやか)が殺された。
彼女に最後に会ったのはラジオディレクターで沙也加の恋人でもあ
死体の首には、
矢嶋は否定するも、泥酔して記憶がない。
さらに殺害トリックを暴けない警察からは「
(裏表紙より引用)
【みどころ】
熱いお湯が全身を滴り落ちると、
やっと体の震えも落ち着いて徐々に昨日の記憶が蘇る。
(中略)
あっという間に五合の焼酎瓶が二本空いて三本目を頼んだはずだ。
しかし、その後の記憶が曖昧だった。
いや、曖昧というよりも、きれいさっぱり覚えていない。
そのままタクシーに乗って家に帰ったか、それとももう一軒行ったのか……。
(本文p5より引用)
『秋葉原FM』でラジオディレクターを務める八嶋 直弥は29歳独身。
矢嶋の恋人である、西園寺 沙也加は6歳年上で、億単位で稼ぐ人気漫画家。
文化人としても成功を収め、ラジオ内でも人気の『
矢嶋は日頃からかなり飲んでは記憶を無くす癖があり、
12月のある日、生放送があるにも関わらず、
本業が漫画家であるため、作業が深夜まで及ぶこともあり…
沙也加の遅刻は番組が始まって以来4回目だったのでもう驚く関係
ディレクターである矢嶋が、
「西山さーん。矢嶋さんが来ましたよ。
ラジオの生放送の時間ですよ。遅刻しますよ」
森はどんどん廊下を進み、正面のリビングに続くドアを開けた。
矢嶋もすぐに森を追って、暗い廊下を足早に進んだ。
(中略)
そこはかとない異臭がするのが気になりつつも、矢嶋は壁にあるスイッチを入れた。
天井の灯が一瞬にして部屋を照らす。
(中略)
「沙也加」
リビングの床の上には、変わり果てた西園寺沙也加こと西山沙綾の白い死体がうつ伏せに横 たわっていた。
(本文p21より引用)
矢嶋は管理人の森に頼み、西園寺沙也加(こちらはPNで本名は西
二人で部屋の中へ進んで行くと、思いも寄らない事態に。
遅刻ではなく沙也加は殺されていた。
しかも思わず抱き起すと、彼女の首には見慣れたネクタイが…。
それはかつて、沙也加が矢嶋に贈ったものだった。
なぜ、今、これがこの場所に???
「矢嶋さん。
ひょっとして矢嶋さんは酩酊して沙也加さんを殺害した挙句、 その記憶を無くしてしまったんじゃないですか」
まさか、そんなことがあるだろうか。
「いや、確かに酔っ払って記憶は曖昧ですが、そんなことをしていたら、さすがに覚えているでしょう」
(本文p86より引用)
知人の弁護士である兼田に、
- 沙也加が殺された日に矢嶋は訪問している
- その後に部屋に入った者はいない
- 数日後、第1発見者は矢嶋と管理人の森
- 遺体に巻き付けられたネクタイは矢嶋のもの
以上から、警察の捜査は矢嶋に迫ることに。
これらをひっくり返す証拠や人物が出てこないこと、
ひとつ謎が残るとすれば、
警察から見れば矢嶋は十分にアヤシイ。
しかし、『密室殺人』が成り立ってしまっているので、
窮地に立つ彼に、沙也加の顧問弁護士であった手塚が味方につき、
誰が沙也加が殺したのか?
矢嶋が泥酔した日に、沙也加が彼に伝えたかったことは?
沙也加の残した遺言のテープの真相は?
コミカルなミステリーを是非!
【感想】
マイホームヒーローで、すっかりミステリーにはまりました笑
小説はほとんど読んだ事がないのに、
- 魅力的な登場人物
- 状況説明
- 謎について
などなど分かりやすくて、ミステリー小説第一歩?にぴったり!
日常で面白い作品に浸れる時間が本当に楽しくて、
…警察の取り調べが割と強引なのが今回得た知見で…実際の警察も
やってもいない犯罪について自白を強要されそうな機会がもしあっ
向こうは仕事の一環だろうけど、
今回新刊棚でこちらを手にしました、前作の『
映画化も今年の冬にされるそうですね・:*+.\(( °ω° ))/.:+
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